電気自動車の時代が予想よりも早く来た!

はじめに

最近になって電気自動車の話題が多くなってきました。最も大きなニュースは、フランスが2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を終了すると発表したことでした。さらにこの発表の数日後に、イギリスがフランスと同じ内容の発表を行いました。

一方、わが国ではハイブリッド車がエコカーとして現在の主流であり、将来的には燃料電池車を究極のエコカーと位置付けているように思われます。
しかし、最近の欧米のニュースや中国の動向を見ると、わが国の動きはチョット違うのでは?と思うようになりました。そこで、改めて内外の動きを学習してみようと思い、主にインターネット上の報道を読んでみることにしました。


ところで、このブログ(ウィステリアの部屋)では、2014年10月18日の投稿記事「燃料電池車はほんとうにエコでしょうか?」において、すでに燃料電池車FCVのエコカーとしての不利な点と電気自動車EVの将来性について指摘しました。

上述のブログ記事から「おわりに」の箇所を再掲します。
なお、詳しくは下記のURLにアクセスして見てください。

  http://wisterwell.exblog.jp/20568323/

【・・・と言うことで結論はほぼ見えています。水素燃料搭載装置の安全性確保や水素燃料供給システムなどの技術開発や新規のインフラ整備を必要とする燃料電池車よりは、シンプルなメカとエネルギー利用効率の良好な電気自動車を目指して、高性能バッテリーの技術開発に全力を挙げるのがベストウェイと確信しています。

 米国ではすでにハイブリッド車をエコカーの認定から排除する方向で動いており、また欧州ではすでに電気自動車への転換を想定して技術開発が進んでいると言われています。わが国もこの方向に舵を切り国際基準に乗り遅れないよう積極的に関わって行くべきではないでしょうか。】

<図-1:HBV-FCV-EVの構造比較>
     <経済産業省資源エネルギー庁ウェブサイト>

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<図-2:真のエコカーは? - well to wheel - >
     <(財)日本自動車研究所報告書2011年3月 → Wedge2015年1月号>


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ところが最近になって電気自動車へのシフトが急激に世界の潮流になってきたのではないかと思われます。
内外の報道をみてみましょう。

★マークの説明:
 ●:出典、<・・・>:見出し、【・・・】:引用文、◆:投稿者のコメント、を表します。


1.フランス・英国の動向

●ザ・ガーディアン(英国 大手一般新聞)(2017/7/6)

<フランス、2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止>
<マクロン政権の動き、ボルボが2019年からすべての車の生産を電気自動車またはハイブリッド車のみとすると発表してから1日後のこと>


【 マクロン政府は、パリ協定の下で目標を達成する野心的な計画の一環として、フランスは、2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を終了すると発表した。
この発表は、ボルボが2019年以降完全に電気またはハイブリッド車を製造すると発表した1日後に発表されたもので、この決定は、1世紀以上にわたって自動車輸送を支配してきた内燃機関の終焉の始まりとして歓迎された。】


◆このようにフランスは、スウェーデンのボルボの発表の1日後に、直ちに2040年以降エンジン自動車の販売を禁止し、電気自動車EVへのシフトを表明しました。


●ロイター(ロンドン)(英国を本拠地とする通信社)(2017/7/26)

<電気自動車は勝つか? イギリス、2040年から新しいガソリン車とディーゼル車を禁止>

【 英国は2040年から大気汚染を減らすために、ガソリン車とディーゼル車の新規の販売を禁止する。これは一世紀以上にわたって依存してきた内燃機関の終わりを告げることになるかも知れない。
フランスに続く英国の措置は、もしもこの動きが世界中に広がれば、石油生産企業に打撃を与えることとなり、電気自動車の勝利につながり、自動車業界と20世紀の資本主義の象徴のひとつである自動車そのものを変革する。】


◆このように英国もフランスに続いて同様の方針を打ち出し、世界的な「ビッグニュース」として時代の変革を感じさせました。


2.ドイツはどうでしょうか?
●Carrent Life(2017/5/28)(日本 輸入車・外車情報提供メディア)
 http://current-life.com/

【ドイツ政府は4月に日本で開催されるサミットにおいて、ドイツは2020年までに100万台の電気自動車を普及させる方針を公表する。この目標を達成するため、2016年7月から10年間、電気自動車の購入に向けた補助金を導入することを発表するという。】

●日経電子版 (2017/7/26)

【 高級車に強いドイツの自動車大手、いわゆる“ジャーマン3[*]”が、電気自動車(EV)の開発に力を注いでいる。3社はEVを前提とした新しい車台を、2019~2020年にそろって投入する計画だ。EVを短距離用のニッチな車両と位置付ける日本メーカーは、EV開発でドイツ勢に引き離されかねない。メルケル首相が、エンジン自動車の販売禁止の方向に賛意を示唆した。】

*注:「ジャーマン3」とは? ダイムラー、BMWおよびフォルクスワーゲンの3大自動車メーカー

●日経電子版 (2017/8/16)

<脱ディーゼル「正しい」 独首相、英仏の販売禁止に理解>

【「方法は正しい」。ドイツのメルケル首相が欧州で広がるディーゼル車・ガソリン車の販売禁止方針を理解する考えを示し、自動車業界で話題を呼んでいる。ただ、併せて自国の雇用や産業競争力への配慮にも言及、「正確な目標年はまだ明示できない」として、英仏のような時期までは踏み込んでいない。9月に選挙を控えた自動車大国ドイツの置かれた難しい状況が浮かび上がる。(中略)

電気自動車(EV)普及との両輪もにらむ。充電インフラの整備が最重要課題だと言及し、EVシフト支援の考えも示した。もっとも英仏が7月に打ち出した2040年までの内燃機関で走る車の国内販売禁止に関しては、意味があるとしながら具体的な工程表は示したくないとしている。】


◆このようにドイツではフランスやイギリスとは異なり、EVへのシフトを示唆しながらも、メルケル首相の支持母体の一つ言われる自動車業界への政治的な配慮があるのではないかと言われています。事実、環境大国と言われながらドイツでは、2020年までに100万台のEVを普及されせる目標を掲げましたが、メルケル首相が達成できない見通しであることを伝えています。(2017/5/15)


3.ヨーロッパの他の国では?

●日経新聞(2017/09/05)
<EV、世界で200万台販売 中国がシェアトップに> (2017/6/8)

【 自動車登録の全体に占めるEVのシェアが高い国は欧州に集中する。首位はノルウェーで28.8%。次いでオランダの6.4%、スウェーデンの3.4%、フランスの1.5%、英国の1.4%などと続く。自動車大手が集まる国では、米国0.9%、ドイツ0.7%、日本は0.6%とまだ低い。主要国での最低はインドでほぼゼロだった。

ちなみにノルウェーとオランダでは、25年からガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する動きがある。ノルウェーは国内に発電コストの安い水力発電所を多く抱えており、内燃機関の車と比べても通常のコストは安くなるのが特長。国産の原油・天然ガスを国内輸送用燃料に使う比率を下げ、輸出による外貨獲得を図るユニークな国だ。オランダも沖合の洋上風力発電設備の整備を進める。発電段階からの温暖化ガス削減に取り組む。】

<図-3:マーケット別乗用車販売予測>
     <Broomberg・imacocollaboHP>

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4.米国の政策と動向は?
●IEA(International Energy Agency):
Hybrid & Electric Vehicle Technology Collaboration Programme

<米国 - 政策と法律>

連邦政府
【 連邦政府は、電動自動車EDVの米国市場を促進する政策と法律を制定している。地域社会に対して、これらの先端技術車を支援する社会資本への投資を促するために、現行法律において税額控除の改善、研究開発への投資および競争的なプログラムをとおして、先端技術車の採用を支援する新たな努力が提案されている。

2009年の米国復興・再投資法は、電気自動車(バッテリ容量に応じて、車両1台あたり2,500/7,500ドル控除)および従来のエンジン車を電気自動車に改装するためのコンバージョンキット(1台あたり最大4,000ドル控除)を購入するための税額控除を設定した。

新しい企業平均燃費(CAFE)基準[*]は、電気自動車技術の市場への参入拡大を促進する。より厳しいCAFE基準では、2012年モデル(2011年に販売を開始)の自動車と軽トラックに、前の年式の自動車と軽トラックに対する平均の25.5 mpg(マイル/ガロン)より16%高い平均燃費を要求している。CAFEはまた、2016年を超えるさらなる増加を検討中であるが、2016年に平均燃費が2011年モデルよりも33%大きくなることを要求している。】

*注:「CAFE基準」とは? 米国で販売される車に適用される燃費基準で、「CAFE(Corporate Average Fuel Economy:企業平均燃費)基準」と呼ばれています。この「CAFE基準」の特徴は、実際に販売したクルマ全体の平均燃費を算出し、それに規制をかけると言うやり方です。企業は、燃費のいいクルマをより多く販売するように生産・販売計画をたてなければなりません。


州政府とコロンビア特別区(DC)
【 米国50州のうち少なくとも47州とコロンビア特別区(DC)は、HEV(ハイブリッド車)使用を促進するための、さまざまな規制を実施している。これらの州の圧倒的多数(47のうち40)は、HEV購入に対する税制上の優遇または払戻金(リベート)制度を実施している。さらに、13州とコロンビア特別区は、自動車メーカーが2016年までに車両の温室効果ガス排出量を30%削減することを要求するカリフォルニア州の「クリーンエアー基準」を採用しようとしている。

ハイブリッド電気自動車HEVのための米州でのインセンティブの状況(2010年)は、以下のとおりである。

・HOV(High-Occupancy Vehicles:多人数乗車車)、駐車場または登録への優遇(14州とDC)
・排出量特典(10州)
・税額控除、払戻し金または助成金(40州とDC)
・購入指令、促進指令または命令(41州とDC) 】

●インサイドEV(米国 Webサイト:電気自動車EVのニュース、レビュー、レポート)                                      http://insideevs.com

<J.P.モルガン[*]は、電気自動車を広範囲に影響する破壊者として見る>(2017/9/11)
<J.P.モーガン:電気自動車は多種の産業を破壊する>


【 これまでに、関心のある人々は、化石燃料車が電気自動車によって置き換えられつつあることを理解している。しかし、進展の経過に関する意見には大きな相違がある。
石油および自動車産業で生計を立てている人々は、孫の時代にその移行が起こると見る傾向があるが、一方、EVや再生可能エネルギー分野では、2030年までにすべてが終了すると予測している。】

*注:「J.P.モルガン」とは? JPモルガン・チェースは、米国ニューヨーク州に本社を置く銀行持株会社である。商   業銀行であるJPモルガン・チェース銀行や、投資銀行であるJPモルガンを子会社として有する。JPモルガン・チ   ェース銀行は米国外を含む商業銀行業務を、JPモルガンは米国外を含む投資銀行業務を分担している。ヘッジフ   ァンド部門は米国最大で、340億ドルを管理している。(ウィキペディア)


<図-4:170911_米国EVモデル毎販売台数2016最終>
      <fleetcarma_com:ev-sales-usa-2016-finalHP>


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<新2018年型日産リーフがシアトルに到着、米国ツアーを開始する>

【 9月9日土曜日は、2つのまれなイベント?の機会であった。 まずシアトルで雨が降ったこと! (ここしばらく米国の北西部に降雨がなかった)、第2に、2018年型日産リーフ(40kWh / 150マイル+ EV)が、シアトルのデニー公園にあるナショナル・ドライブ・エレクトリック・ウィークのフェスティバルの一部として、初めて一般に公開されたことである。
リーフの技術者が、リーフに興味を持っ来訪者に車の特徴を説明したため、日産の展示会場の周りの交通が混雑した。展示されたリーフは、9月5日に開催された日産ワールド・ワイドの公開ステージで展示されたと同じ フローティング・ルーフ・ペイント・スキームを持つ白いSVモデルであった。】


<3億ドルのカリフォルニアEV補助金計画がCARB[*]スタディによって置き換えられた>

*注:CARB(California Air Resources Board)カリフォルニア州大気資源局

【 カリフォルニア州が、新しいEV払戻金計画が確立されるかどうかを知るのに、今や数年を待たなければならない。数ヶ月前に、われわれは、カリフォルニア州の追加のEVインセンティブのために30億ドルの資金を要請する法案について報告した。この法案は、販売時点で払戻金を利用できるようにすることで、低所得者層の購入喚起を目的としていた。 付加的に、この法律は、EV充電に関する施設整備のための資金の一部を、除外するかも知れない。

その後、8月下旬に法案から30億ドルが削除され、他の金も追加されなかった。当初の法案には、現行のEV払戻金制度に対する金銭的調整も含まれていた。しかしこの条文案も削除された。 代わりに、カリフォルニア大気資源委員会(CARB)は、新しいEV払戻金法案を作成し実施するための最善策の調査を義務付けるよう改正した。】


●クリーン・テクニカ (米国 世界のクリーンに焦点を当てたニュースと分析のウェブサイト)                                        https://cleantechnica.com

<米国、2017年に完全電気自動車販売47%アップした>(2017年9月9日)

<図-5 米国の電気自動車販売台数 ( 2017年1月~8月) >
< 170911_USA_EV_Sale2017byAugust
      https://cleantechnica.com/2017/09/09/usa-fully-electric-car-sales-82-2017/

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【 米国の電気自動車市場は、 もちろん、カリフォルニア州の特に強力な電気自動車市場によって主導され、昨年(2016)1年間?で急速なペースで成長を続けた。1月から8月まで、全国で電気自動車8車種の販売台数は47%増加した。 6車種のプラグインハイブリッドカーの売上高は30%増だった。全体的に見ると、これらのプラグイン車の販売台数は40%増だった。

2017年8月対2016年8月は、それほど劇的でなかったが、依然として強い成長期だった。完全電気自動車の販売台数は19%増だった。 プラグインハイブリッドの売上高は4%増だった。 全体的に見ると、プラグインの販売台数が13%増加したことになる。】


● U.S. ニュース & ワールド・リポート(米国 自動車情報サイト)

      https://cars.usnews.com/cars-trucks/best-electric-cars


<ベスト11電気自動車 >

 *注:ヒュンダイのみ通常のハイブリッド車HBV、他はすべて完全(full)電気自動車EV

【・2017 Fiat 500e: Range(1回の充電による航続距離):84 mi(マイル),111 HP(馬力),

・2017 Nissan Leaf:the best-selling EV,Range:107mi, 107 HP,(新型車:250 mi= 400Km)

・2017 BMW i3: Range:81 mi, 170 HP,

・2017 Ford Focus Electric: Range:115 mi, 143 HP,

・◇2017 Hyundai Ioniq Electric: 通常のHBV,間もなくEVとPHV,118-139 HPを発売

・2017 Volkswagen e-Golf, Range: 125 mi 170-292 HP,

・2017 Chevrolet Bolt Range: 238 mi, 200 HP,

・2017 Kia Soul EV, Range: 93 mi, 109 HP,

・2017 Tesla Model X, Range: 237 - 295 mi, 417-518 HP,

・2017 Tesla Model S, Range: 249-335 mi, 382-691 HP,

・Tesla Model 3, Range: 215 mi,この7月に市場に投入 】

  <図-6:テスラ Model 3、 Range: 215 mi、$35,000.>
  <http://s.newsweek.com/sites/www.newsweek.com/files/styles/embed-lg/public/201 6/02/11/tesla-model-3-speed-price-rumors-elon-musk.jpg


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◆米国においては、連邦政府および州政府の燃費等に対する規制と電気自動車への転換を促す種々のインセンティブが法律として施行されており、想像以上にEVへのシフトが志向されて、その実現に向かって着実に進展しているように見えます。


特徴的なこととして、バッテリー式電気自動車専門の自動車メーカーである「テスラ」の存在があります。2003年に創業したこのベンチャー企業は、テスラの「モデルS」で一躍脚光を浴び、さらに最近では一気に低価格のEVである「モデル3」を発表しました。こうしたテスラの発展ぶりは、米国のEVシフトの動向を示す象徴的な事象ではないかと思います。

こうした米国のEVシフトの流れの中にあって、日産リーフの活躍は特筆すべきものがあります。日産リーフは、EVをメインとして志向していないわが国においては、あまり存在感はないようですが、欧米での評価は高く販売台数も伸びているようです。



5.中国の動向はどうでしょうか?
●マッキンゼー・クオータリー[*] (2017年7月)
  http://www.mckinsey.com/global-themes/china/chinas-electric-vehicle-market-plugs-in

<中国の電気自動車市場はプラグインする>
<中国は、電気自動車の需要と供給の両方のリーダーとして浮上>


【 2016年に中国のOEM(相手先商標による製品の生産者)によって約37万5千台の電気自動車(EV)が製造された。これは世界中のEV生産の43%に相当する。 それは偶然ではない。 中国のOEMは2015年に40%の世界シェアを達成した。世界中のOEM(その中の中国メーカー)も2016年に中国内で約332,000台のEVを生産した。中国は現在、初めて米国のEV数を追い抜いて、道路上に最も多くのEVを走らせている。】

*注:「マッキンゼー・クオータリー」とは? マッキンゼー・アンド・カンパニーは、1926年にシカゴ大学経営学部教授のジェームズ・O・マッキンゼーにより設立された、米国に本社を置くグローバルな戦略系コンサルティング会社。全世界の主要企業を対象に、年間1,600件以上のコンサルティング・プロジェクトを手掛ける。出版事業として、ビジネス季刊誌『マッキンゼー・クオータリー』を発行している。(ウィキペディア)


●オートカー: カー・ニュース&レビュー(2017/07/05)(英国:自動車のニュースと評価のウェブサイト)
https://www.autocar.co.uk/car-news/new-cars/insight-why-demand-china-spurring-growth-electric-car-sales

<なぜ中国の需要が電気自動車販売の成長を促進しているのか>

【 欧州と米国での電気自動車の受け入れ方は依然として微妙だが、中国の電気自動車化への動きは、今後数年間に新しいモデルの洪水を引き起こすように設定されている。
開発の背後にある真の原動力は、「中国で起こっている」と言うことと、電化ハイブリッド車や純粋な電気自動車の販売に対する巨大な可能性である。 このことはビジネスの良い面ばりではなく、 EVに対する中国の動きを無視し、また、技術戦に敗れることを恐れている既存の自動車メーカーが、この戦いに敗れた場合は、他の弱いマーケットに進出して生き残れるかも知れない。】


 <図-7:BYD Qin EV300>、300 km (186 miles) 、215HP、$47,821.>
   <https://www.topspeed.com/cars/byd/2016-byd-qin-ev300-ar172932.html

 

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  競争相手は、テスラ Model 3と日産リーフだと言う。

●ウィキペディア(英語版、ネット百科事典)                        https://en.wikipedia.org/wiki/New_energy_vehicles_in_China

<中国の電気自動車>
<中国政府の政策とインセンティブ>

【 中国政府は、2009年に現在の自動車技術を飛躍させる計画を採択し、完全電気自動車およびハイブリッド車の製造における世界のリーダーになるために、成長している新エネルギー車(NEV)市場を確保する。

電気自動車の採用に対する中国政府の政治的支援は、4つの目標を持っている。すなわち雇用と輸出を生み出し世界をリードする産業の創出、 中東からの石油依存を減らすためのエネルギー安全保障、 都市の大気汚染の軽減、そして炭素排出量の削減である。
中国政府は、プラグイン電気自動車(PEV:Plug-in Electric Vehicle)を表すのに新エネルギー車(NEV:New Energy Vehicle)という用語を使用している。

中国政府は、2008年の2,100台を超えて、2011年末までにプラグインハイブリッド車または完全電気自動車とバスの年間生産能力を50万台に増加させる目標をたてた。

2012年6月、中国国務院は、国内の省エネルギーおよび新エネルギー自動車産業の開発計画を発表した。この計画では、2015年までに50万台の新エネルギー車の販売目標を設定し、2020年までには500万台の販売目標を設定した。補助金は、中国の未解決問題である大気汚染に対処する政府の取り組みの一環である。】


●日経新聞(2017/09/05)

<EV、世界で200万台販売 中国がシェアトップに> (2017/6/8)

【 国際エネルギー機関(IEA)は7日、電気自動車(EV)などの世界累計販売台数が2016年に約200万台に達したと発表した。政府が環境規制を強化している中国の伸びが大きく、米国を抜いてEVの世界シェアトップに躍り出た。自動車全体の中でのEVのシェアは0.2%にすぎないが、20年には累計2000万台に増えるとの予想もあり急速に市場が拡大している。

<中国16年倍増、世界シェア3割>

IEAがEVの国際的な普及団体などと組み、世界のEVとプラグインハイブリッド車(PHV)の台数を集計した。16年の累計台数は前年比6割増えて過去最高を更新。世界の中でも中国は65万台と倍増し、米国の56万台を追い抜いた。中国の世界シェアは前年の25%から32%に上昇した。

中国政府は大気汚染への対応などからEVなどの普及に力を入れる。EVなどの「新エネルギー車」の販売義務付けも始める計画だ。日産自動車の中国合弁である東風日産乗用車が中国専用EVを発売するなど、各国のメーカーが販売競争にしのぎを削る。11年には中国のEV台数はわずか7000台だったが、14年以降急速に拡大。中国政府は20年までEV支援策を続ける方針で、普及の勢いは今後も続きそうだ。】


●日経新聞(2017/09/12)

<中国、ガソリン車禁止へ 英仏に追随、時期検討>

【 中国政府はガソリン車やディーゼル車の製造・販売を禁止する方針だ。英仏が7月に2040年までの禁止を表明したことに追随し、導入時期の検討に入った。電気自動車EVを中心とする新エネルギー車(NEV)に自動車産業の軸足を移す。世界最大の自動車市場である中国の動きは、大手自動車メーカーの成長戦略や世界のEV市場に影響を与えるのが確実だ。】

<図-8:各国のEV・PHVの販売台数推移>
     <https://car.autoprove.net/2017/08/50563/


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◆中国では、主に大都市における大気汚染の防止と石油輸入の削減と言うエネルギー安全保障の観点から、EVへの転換を強力に推進しているように見えます。すでにEVの販売台数において世界のトップとなり、車種のバラエティも豊富なことから輸出台数も今後伸びるものと推測されます。

つい最近、中国もフランスや英国に続いて内燃エンジン車の製造・販売の禁止を検討を開始しました。EVの生産・販売台数で世界のトップを行く中国が、こうした積極的な政策を推進することにより、わが国の自動車メーカーを含めてこの潮流に逆向することは難しいと思われます。


6.インドの状況は?
●CNN tech (2017/6/3)
http://money.cnn.com/2017/06/03/technology/future/india-electric-cars/

<インドは2030年までに電気自動車だけを販売する>

【 米国は歴史的な「パリ協定」から離脱しようとしているが、インドは、2030年までに電気自動車だけの販売を開始する、という大胆な決断を下している。
インドは世界で最も汚染された国のひとつである。 エネルギー省は、空気をきれいするために、ガソリン動力車の販売を止めるための「野心的な」目標を掲げていると発表した。

インドのエネルギー大臣は、この国がここ数年間は補助金を提供して電気自動車の取り組みを促進することを、最近発表した。「その後は、電気自動車のコストは、補助金なしで採算が取れるようになる」と大臣は述べた。政府の電気自動車計画は、2020年までに電気自動車とハイブリッド車の年間販売台数が、600万~700万台になることを予定している。】

<図-9:世界販売台数国別シェアー>
      <日経Automotive2014_1月号>


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◆中国とインドの動向に関して最近大変興味あるニュースがありました。世界の自動車メーカーがこぞってEVへの転換を図っている背景には、中国やインドの影響があると言うのです。すなわち、英ジャガー・ランドローバー(JLR)とインドのタタ自動車が「英国・インド連合」を形成し、また、ボルボと中国・浙江吉利控股集団が「スウェーデン・中国連合」を組んで、EV市場を攻略する戦略が着々と進んでいると伝えています。以下にその記事を引用してみます。


●日本経済新聞 電子版(2017/9/8)

<中印が描く「一気にEV」 ジャガー、ボルボの背中押す>

【 世界の自動車大手の電動車シフトの流れが止まらない。英ジャガー・ランドローバー(JLR)は7日、2020年以降に販売する車はすべて電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)にすると発表。ボルボ・カー(スウェーデン)もJLRと同じ計画を持つ。年間販売台数が100万台に満たないJLRとボルボがそろって戦略転換した背景には、親会社の中国、インド大手による名門ブランドを使った「一気に電動車戦略」もある。】
(詳しくはこちらをご覧ください:
 https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ08H81_Y7A900C1000000/?n_cid=NMAIL005

7.日本の動向はどうでしょうか?

●経済産業省の方針(2016,03/23 News Release)

【 電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の普及に向けて、「EV・PHVロードマップ」をとりまとめました。

幅広い関係者で構成される「EV・PHVロードマップ検討会」では、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)の普及に向けて必要な車両と充電インフラ等が連携した戦略を検討してまいりました。今般、検討結果が「EV・PHVロードマップ」としてとりまとめられましたので、公表します。

1.開催の背景・目的
「日本再興戦略改訂2015」においては、「2030年までに新車販売に占める次世代自動車の割合を5から7割とすることを目指す」とされています。「EV・PHVロードマップ検討会」では、この目標の達成に向け、次世代自動車のうち、燃料電池車FCVとともにCO2排出削減効果が高く、災害対応等の新たな価値も期待できるEV・PHVについて、今後5年(~2020年)に必要となる戦略を検討しました。
経済産業省としては、「EV・PHVロードマップ」を、別途とりまとめられた「水素・燃料電池戦略ロードマップ」のうちFCVに関連する部分とともに、今後の次世代自動車戦略の柱としてまいります。

2.「EV・PHVロードマップ」の概要
・2020年のEV・PHVの普及台数(保有ベース)を最大で100万台とすることを新たに目標として設定。( 2016年2月末のEV・PHVの累計販売台数は約14万台)】


●日経新聞(2017/09/05)

<EV、世界で200万台販売 中国がシェアトップに> (2017/6/8)
<20年に累計2000万台の予測も>

【 EVやPHVの開発を巡っては、三菱自動車が、世界初の量産電気自動車(EV)「アイ・ミーブ」を発売するなど、当初は日本勢が先導してきた。足元では海外勢が存在感を高めている。米EVメーカーのテスラが急成長し、ゼネラル・モーターズ(GM)の「ボルト」などの販売も伸びている。

EVで出遅れていたトヨタ自動車は、2020年までにEVの量産体制を整えて本格参入する方針を示した。フォルクスワーゲン(VW)、BMW、ダイムラーのドイツ勢は2025年時点で新車販売の最大25%をEVにする計画。自動車大手だけでなく、部品や電池大手を巻き込んだ競争は激しくなる。

IEAが調査会社の予測をまとめると、20年時点で累計900万~2,000万台まで増えるという。最も保守的な予測でも今の4倍以上と成長率は高い。

 大きな課題は急速充電設備の整備だ。先行するノルウェーではEVの台数が急拡大したのに、充電拠点が追い付いていない地域もある。電力は貯蔵が難しいのも難点だ。IT(情報技術)による需給予測や分散型の風力・太陽光発電を組み合わせ、効率的に電力を供給する体制を築くかも課題になる。EV開発の裏側で、EV向け電力供給を巡るビジネスも成長しそうだ。】


<図-10:世界でのEV、PHEV販売台数データ(2015年年間ランキング)>
     <https://www.hyogo-mitsubishi.com/news/data20160217153000.html


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◆わが国では、経済産業省が2020年までの戦略として、従来からの戦略車種としての水素・燃料電池車FCVに、電気自動車EVとプラグインハイブリッド自動車(PHV)を加えて、今後の次世代自動車戦略の柱とするとしています。FCVについてはすでに述べたように今後の主要な戦略車種にはなりえないと思われます。またPHVについてもあくまでにも基本的には内燃ガソリン車ICVですので、EVの競争相手ではないと考えられます。

一方、わが国の自動車産業では、ヨーロッパや中国等の動向を踏まえて内燃エンジン車ICVからEVへの転換を早期に図ろうと言う動きが急速になってきました。少々遅きに失した観はありますが、早期に追いつき追い越して欲しいものと期待しています。


8.今後の動向は?

「2017年電気自動車展望」(Bloomberg New Energy Finance:HP 2017/8/25)によると、今後のEVの動向が以下のように示されています。
https://about.bnef.com/electric-vehicle-outlook/

●【1.電気自動車が新車販売の大半を占める:EVは、2040年までに新車販売台数の、以前に予  測した35%ではなく、  54%を占めると考えている。

2.バッテリーの価格の低下がEVの伸びを加速:リチウムイオン電池の価格が急騰するために、電気自動車の実際の 生産活動は2020年代後半に起こり、リチウムイオン電池の価格は、2030年には70%以上も下がるようになる。

3.オイルの置換量が増加する:2040年までに、EVは1日あたり800万バレルの輸送用燃料を減少させるが、一方で世 界の電力消費量を5%増加する。】


<図-11:車種別乗用車販売台数予測2050年>
    <http://sgforum.impress.co.jp/sites/default/files/image/sgnl201512_04zu3.png

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<図-12:世界の乗用車販売予測>
   <Broomberg New Energy Finance (imacocollabo Website)
     https://imacocollabo.or.jp/wp-content/uploads/2017/07/795316b92fc766b0181f6fef074f03fa-1.png

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<図-13:EVとICVの価格比>
   <Broomberg New Energy Finance (imacocollabo Website)
       https://imacocollabo.or.jp/blog/2017/07/12/sdgs-case-0712/


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●日本経済新聞 電子版(2017/9/6)

<価格・距離・充電設備 EV普及占う新型リーフ >

【 日産自動車は6日、電気自動車(EV)「リーフ」の新型を、10月2日に日本で発売すると発表した。1回の充電で走れる距離は先代の4割増の400キロメートルに伸びた。価格は約315万円からで、補助金の分を引くと実質275万円から。環境への関心が特別に高くない「普通の人」でも、購入の選択肢にしそうな水準だ。リーフがEV普及の扉を開くのか。課題は何か。】

  <図-14:新型「日産リーフ G」>
  <https://newsroom.nissan-global.com/releases/release-5f454556692dea59782a3ffa3e05eabd-170906-01-j?lang=ja-JP


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●日本経済新聞 電子版(2017/9/8)

<中印が描く「一気にEV」 ジャガー、ボルボの背中押す>

【 世界の自動車大手の電動車シフトの流れが止まらない。英ジャガー・ランドローバー(JLR)は7日、2020年以降に販売する車はすべて電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)にすると発表。ボルボ・カー(スウェーデン)もJLRと同じ計画を持つ。年間販売台数が100万台に満たないJLRとボルボがそろって戦略転換した背景には、親会社の中国、インド大手による名門ブランドを使った「一気に電動車戦略」もある。
(中略)
7日にはSUBARU(スバル)も2020年度めどにディーゼル車から撤退する方針が明らかになった。販売台数100万台以下のメーカーは研究開発資金が限られ、EVなどに車種を絞り込む動きは続きそうだ。SUBARUはトヨタ自動車との資本提携で、日本勢同士で業界で生き残る手を打った。マツダも8月にトヨタとEV共同開発などで合意済み。これも「日本連合」だ。】


●日経ヴェリスタ (2017/09/17)

<新・クルマ革命の覇者 自動運転・EV…デバイスが導く>

【今、クルマ産業には4つの変革の波が押し寄せている。コネクテッド(つながるクルマ)、オートノマス(自動運転)、シェアリング、エレクトリシティー(電動化)で、頭文字をとり「CASE」という。CASEは構造転換をもたらす。電気自動車(EV)では米テスラなどが勢力を伸ばし、EV普及でクルマのコモディティー化[*]も進む。自動運転では人工知能(AI)をつくるIT企業が主導権を握り、シェアリング普及で車販売も落ちる。既存の車大手にとっては逆風となる半面、構造転換で存在感を増すのが電子部品や半導体などデバイスだ。株式市場では完成車株を売り、デバイス株を買う動きも出始めた。】

  *注:「コモディティー化」とは? 市場に流通している商品がメーカーごとの個性を失い、消費者にとってはどこのメーカーの品を購入しても大差のない状態のこと(ウィキペディア)

  <図-15:自動車産業を変える"CASE">
           <日経ヴェリスタ(2017/09/17)>


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◆海外の自動車業界が、急速にEVへシフトする趨勢のなかで、わが国の大手自動車メーカーもEVへの転換を始めたようです。ハイブリッド車(HBV)は、欧米ではすでにエコカーの指定から外されており、また国際基準を目指したと思われる燃料電池車(FCV)もEVの敵ではなくなりつつあります。

ノルウェーやオランダでは2025年までにガソリン車の販売が禁止される予定で、フランス、イギリスそしてドイツがそれに追随しています。アジアでは、インドで「30年までに販売する車をすべてEVにする」と担当大臣が発言しており、中国は世界で最も電気自動車の販売台数が多い国となっています。中国、アメリカ、ヨーロッパで自動車販売に占めるEVの比率は60%を超え、2030年以降もプラグインハイブリッド(PHEV)が一定割合販売されると考えられている市場は日本だけと言われています。

自動車業界を一変させると言われる「CASE」が、次世代の自動車産業の勢力図を占うと言うことで話題となっています。トレンドを示す4つのキーワード、すなわち「コネクテッド、C」、「オートノマス:A」、「シェアリング:S」、「エレクトリシティー:E」の頭文字を取ったものですが、重要なのはこれらが相互に関連していて、その要となるのが最後の「E」、つまりエレクトリシティー:電気だと言われています。


おわりに

最近、電気自動車EVの話題が多くなってきたので、改めて世界の状況を概観し欧米での対応や日本を含むアジアの国々の動きを、内外のネットや新聞等からナマの情報を集めて学習してみました。

従来の内燃車ICVに比べてEVの環境負荷が著しく低いことを理解すると同時に、技術面においても価格競争の点においても近い将来において、EVがガソリン車などの内燃車ICVを超えるのではないかと言うことが、容易に推測されました。

約1年前の予測では、2040年の世界の自動車販売に占めるEVの比率は35%でしたが、今年、2017年での予測数値は54%と19%も上昇しています。このことは、EVの普及が過去の予測を超えるスピードで進んでおり、技術革新、政策の動向によっては、今後そのスピードはさらに早まる可能性もあると思われます。

例えば、バッテリーの技術開発が進展して、1回の充電での航続距離が大幅に向上し、最近発表された日産リーフの新型車では、400kmとなっています。また販売価格の面でも補助金制度の有効活用等もあって低下の傾向にあります。

最近の動きとしてドイツのダイムラーが、米国でEV生産のための工場に10億ドルを投資し、2020年にはSUV型のEVを量産すると発表しました。さらにバッテリー生産の新工場を作り、ヨーロッパと中国それに米国の3地域を連携した体制を構築し、「EVシフト」を加速させようとしているとのことです。

また、フランスや英国が、2040年には内燃車ICVの販売を停止すると発表したのに対して、中国ではガソリン車が2030年には禁止になると予想されています。

このように最近の状況を学習した結果、世界におけるEVへのシフトが急速に進行していることが、改めて解かりました。「電気自動車EVの時代」が、予想よりもはるかに速く来そうな予感がします。
                      以上


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# by wister-tk | 2017-09-24 17:10 | 海外の情報

「夏休み親と子の学習会」のサポートに参加しました

所属する「NPO法人・武蔵野多摩環境カウンセラー協議会」のメンバーとして、子供の環境学習支援の一環として、「むさしの・こどもエコフォーラム」主催の行事を支援しています。今回はこの「エコフォーラム」の創立10周年記念イベントとして行われた「夏休み親と子の学習会」にサポーターとして参加しました。

「学習会」は、2017年8月20日(日)、2時から4時まで武蔵野プレイス(JR武蔵境駅前)でおこなわれました。参加者は、小学生が22人、中学生が2人で保護者も多数参加されました。

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メインテーマは、「地球の歴史と生物の進化」とし、恐竜の楽しいお話を聴き、また珍しい化石の標本に触り、そして化石のレプリカを自分で作ろうと言うイベントでした。地球の歴史と生物の進化を化石をつうじて理解し、地球環境の大切さを学ぶ環境学習の時間でした。

まず第1部として、最初に寺木秀一先生(新潟薬科大学 応用生命科学部・教授)から地球・生命の誕生と生物の進化についてのお話を聴きました。地球の成り立ちや生物がどのようにして進化してきたかについて分かり易く説明していただきました。

<写真:①寺木先生   ②会場の様子1      ③会場の様子2>
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次に第2部として化石のレプリカ作りになり、指導していただいたのは、加藤久佳先生(千葉県立中央博物館・主任上席研究員)でした。レプリカを作る化石は2種類で、ひとつはビカリヤ(新生代第三紀/5,600万年前~500万年前、巻貝、長さ約10cm)、もうひとつはデスモスチルス(新世代第四紀/2,300万年前~500万年前、哺乳類、体長1.8m、重さ約200kg)の歯でした。

<写真:①加藤先生   ②子どもたちの様子   ③シリコン型の状態>
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石膏を水で溶いてヨーグルトくらいの柔らかさにしてから、立体的なレプリカを作るため、2つに割ったシリコンの型の両方に溶いた石膏を流し込んでから両方の型を合体させました。ここが大変難しいところで一気に合体させないと石膏が流れ出たり、飛び散ったりしてうまく行きません。私たちも事前にレプリカ作製の練習をしたのですが、この技は小学生には無理かと思われていました。しかし、こどもたちは、誰一人失敗することなく難なくやってのけたのでした。これにはちょっとした驚きでした。
と言うことで無事合体に成功し、後は硬化するのを20分ほど待つだけでした。

<写真:①計量・練り混ぜ ②石膏流し       ③合体の状態>
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石膏が硬化するまでの時間は、加藤先生による化石と地球の歴史についてのお話がパワーポイントを用いてありました。子どもたちはもちろん保護者の皆さんにとっても大変興味あるお話が次々と出てき、あっという間に予定に時間がすぎてしまい、かなりの部分を端折られたようでした。少々残念だったと思います。

お話の中で特に子どもたちの興味を引いたのは、化石(デスモスチルス?)から復元図を作る過程のコンピューター・グラフィックスCGでした。発掘現場 → 発掘後の化石の状態 → 不足部分を加えた骨格の形成 → 肉付けした復元図 → 歩行状態の動画 → 走る状態の動画 → メカトロ的に再現したロボットの歩行、と言うことでわれわれ大人にとっても大変興味あるお話でした。

続いて展示されたいろいろな化石の標本について、説明を聴き自分の手で触り、また質問をして、化石の触感を楽しんでいたようです。特に始祖鳥の化石標本には興味があるらしく、多くの子どもたちが集まっていました。

<化石標本: ①パレオパラドキシア頭骨 ②始祖鳥 ③アルティヌス頭骨>
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そうこうしているうちに、石膏の予定硬化時間も過ぎたので、レプリカをシリコンの型から取り出しました。驚くことに全員が立派なレプリカを完成させました。6歳の子もいたので少々心配していたのですが、無事レプリカ作製を終えることができ、子どもたちの対応能力の高さに改めて驚かされました。完成した化石の石膏レプリカは、ラベルに自分の名前を書いて透明プラスチックの蓋つきの標本箱に入れて出来上がりです。

<①ビカリア取り出し(1) ②ビカリア取り出し(2) ③ビカリア取り出し(3) >
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<写真:④ビカリア完成  ⑤標本箱入れ     ⑥デスモスチルス歯完成 >
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レプリカの作製が終わったところで少々休憩時間をとり、次いで最後の第3部のQ&Aとトークショーに入りました。子どもたちから質問が出るかどうか少々心配したのですが、これも全くの杞憂でした。次から次と質問が出され、しかも質問の内容がかなり細かい部分に関することで、お二人の先生も大変感心しておられました。私など化石には全くの門外漢には質問の内容さえも理解しがたい状態でした。予定の時間を延長して質問時間は終わりましたが、時間が許せばまだまだ質問は続いたかも知れません。

<写真:①質問者1   ②質問者2       ③回答者:加藤先生>
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最後にアンケートを記入して閉会となりました。アンケート結果によると、①とても楽しかった、②化石のレプリカ作りがよかった、③化石に大変興味を持った、と言った回答が多くあり、ほぼ所期の目的を達成したのではないかと思います。

2時間と言う比較的短い「学習会」でしたが、子どもたちは、「地球の歴史と生物の進化」について楽しいお話を聴き、また色々な化石の標本に触れ、そして化石のレプリカを自分で作ることによって、地球の歴史と生物の進化を学び、地球環境の大切さを学習したことでしょう。




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# by wister-tk | 2017-08-22 11:31

「むさしのサイエンスフェスタ2016」に参加しました

毎年のことですが、今年も11月3日に開催された「むさしのサイエンスフェスタ2016」において、「化石のレプリカを作って地球の環境歴史を知ろう」と言う環境学習の目的を持って、アンモナイトの化石のレプリカ作りを行いました。参加の対象は小学生で、1回に20人として3回行いました。

まず油粘土でアンモナイトの化石の型を作り、この型に石膏を流し込みます。硬化を待って型をはずして出来上がりです。
石膏が硬化するまでの時間は、実物の化石に手を触れながら地球の歴史と環境について、講師の先生から詳しい説明を聴きました。子供たちは大変熱心に講師の先生のお話に耳を傾け、いろいろと質問していました。また実物の化石には大変興味を示し、手に取って真剣に観察し、先生に質問を浴びせていました。

1グループ当たり約1時間と言う短い時間ではありましたが、子供たちにとっては大変有意義な時間だったと思います。今、私たちが直面している環境問題も、地球の誕生から今日までの長い間の地球環境の変遷の中で理解することで、子供たちもまた新たな展望が開けてくるのではないかと思います。
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# by wister-tk | 2016-11-10 20:25

「むさしのサイエンスフェスタ2015」に参加しました

第9回目の「むさしのサイエンスフェスタ2015」は、むさしのサイエンスフェスタ実行委員会・武蔵野市教育委員会共催で、2015年11月3日に行われました。会場は去年と同じく武蔵野市総合体育館でした。
子供たちに「科学のおどろき・発見・楽しさを感じてもらい、さらに子供たちの科学への興味と関心を高めるきっかけとなること」を期待して、毎年、行われています。今年は30団体の参加がありました。

われわれのブースは、「化石のレプリカを作って地球の歴史を探ろう」と言うテーマでした。ブースの運営主体は、「むさしの・こどもエコフォーラム」でしたが、私たち「武蔵野・多摩環境カウンセラー協議会 MECC」のメンバーは、このブースを支援する形で参加しました。

展示企画の目的は、化石を学習することによって地球の誕生から今日まで、46億年の地球環境の歴史を学び、環境問題の重要性についての認識を深めてもらおうということでした。

寺木秀一教授(新潟薬科大学・MECC会員)には、化石およびレプリカ作りのご指導と子どもたちへの説明をしていただきました。また武蔵野市教育委員会の計らいで、国立科学博物館より多くの貴重な展示用化石を借用しました。この実物の化石が、子供たちばかりでなく保護者の皆さんの、地球の歴史と環境への興味と関心を高め、本当に効果が抜群でした。

化石のレプリカ作りの対象は、本来は小学校高学年でしたが、例年のことながらどちらかと言いますと低学年が多かったようです。20人を一組として3回行い、アンモナイトの化石のレプリカを作りました。まず目を保護するために実験用ゴーグルをつけ、紙コップに石膏粉をいれ水を加えてよく練り混ぜ、これを予め製作しておいたプラスチック製の型に詰めて、硬化後に形から取り出して、レプリカは出来上がりです。

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子どもたちにとっては、石膏に水を加えて練り混ぜる作業が意外に難しく、特に適度な粘性を持たせてプラスチックの型に詰め込める状態にすることは、可なり苦労したようです。それでもみんな頑張って予想以上に素晴らしいレプリカを完成させ、自分の名前を書き込んだラベルの入った特製の標本箱に納めると、満足の笑顔がこぼれました。子供たちの嬉しそうな笑顔を見ると、われわれも疲れを忘れて本当に幸せな気持ちになり、また来年もとの新たな意欲が湧いてきます。
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# by wister-tk | 2015-11-10 16:40 | 環境学習など

COP20はどうなったか?

はじめに
地球温暖化対策を検討するCOP20(国連の気候変動枠組条約第20回締約国会議)が、2014年12月1日から14日までの日程で、ペルーのリマで開催されました。COP20では、京都議定書に代わる2020年以降の新たな国際的なルールづくりについて協議が行われたのです。結果はどうなったのでしょうか?COP19からの経緯を踏まえて学習したいと思います。

1.COP19での合意とその課題
(1)新たな国際枠組みの構築
2013年11月にポーランドのワルシャワで行われたCOP19(このブログの2013年12月30日号を参照してください)では、最大の課題である「新たな国際枠組みの構築」に関して、焦点だった「自主的削減目標」については、当初、EUが2014年、日本および米国が2015年、途上国が2015年以降と言った提案をしていましたが、結局、COP19では「削減目標の基準年」や「達成の時期」については議論されず、COP20に先送りされました。
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(2)支援資金に関する決定
 COP19では、途上国が、温室効果ガス削減の目標を達成するために必要となる資金の支援要請に対して、先進国は2014年の早い時期に途上国に目標設定のための資金を支援することを約束しました。途上国への資金の支援については、既にコペンハーゲン合意(2009年、COP15、デンマーク)・カンクン合意(2010年、COP16、メキシコ)で、2020年までに支援資金を拠出すると言う合意に基づいて、作業計画を策定することがCOP19での焦点のひとつでした。しかし、途上国の求める目標設定に対して先進国の多くはこれに強く反対したため、問題はCOP20へ持ち越されました。

(3)気候変動による損失と損害
気候変動による「損失と損害(Loss and Damage)」に対する対策は、貧困国や気候変動の影響を著しく受ける脆弱な国々(島嶼諸国など)が、以前から強く促進を求めている課題であり、2012年のCOP18の「ドーハ合意」において新たな制度的メカニズムを創設することが決定されていました。COP19ではそれを受け、温暖化に伴う自然災害による「損失と被害」に対処する「ワルシャワ・メカニズム」と呼ばれる新たな専門組織を新設し、そしてその執行委員会を創設することに合意しました。しかし、損失と損害を著しく受ける国々の要求に対する具体策は先送りされました。
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           <出典:COP20ホームページ>

2.COP20での合意事項
(1)新たな国際枠組みの構築
(a) 2015年合意文書案:
2015年のCOP21で議論し採択するための新枠組みの「2015年合意文書案」(「新たな枠組みの交渉テキスト案の要素」)を2015年5月以前に作成すること
(b) 排出削減目標:
各国は、温室効果ガスの排出削減目標を「COP21までの十分早い時期に、出来れば3月までに」提出すること、また2020年以降の各国の排出削減目標を提示する際に提供する情報の内容等を定めたCOP決定を、「気候行動のためのリマ声明」(Lima Call for Climate Action)として採択
(c) 排出削減目標の引き上げ:
2020年までの各国の排出削減目標の引き上げについて、「専門家会合」による後押しの制度化等を目指し検討したが合意出来ず
(d) 報告書の公表:
事務局は2015年10月1日までに提出された排出削減目標を分析し、11月1日までに報告書を公表すること
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(2)支援資金に関する決定
先進国から途上国への資金支援の見通しを明らかにすることが検討され、途上国への資金支援として緑の気候基金の拠出額が100億ドルを超え、これを歓迎する旨のCOP決定を採択
(3)気候変動による損失と損害
「気候変動による損失と損害」については、COP19 で設立に合意した「ワルシャワ国際メカニズム」の執行委員会の2カ年作業計画、委員構成および手続きについて合意

3.日本の立場
COP20で会議をリードした米国や中国などとは対照的に、日本はほとんどその存在感を示すことが出来なかったと報じられています。COP20の主要な議題は、排出削減目標の策定にかかわるものでしたから、福島第一原発の事故以来、わが国の新たなエネルギー政策の策定が放置された状態のなかで削減目標など策定できるはずもなく、EU等の閣僚から2015年3月までに目標を示すよう催促されるなどの醜態をさらす結果となったようです。

これは明らかにわが国のエネルギー政策、とくに原発政策や再生可能エネルギーを含めたエネルギー構成が確立されていないことに起因していることは明らかです。この事態は既にCOP19において顕在化していて、将来への向けたエネルギー政策の早期の確立が求められていたことでした。COP20の合意においては、削減目標をCOP21までの十分早い時期に提出すること」とし、また「事務局は2015年10月1日までに提出された排出削減目標を分析し、11月1日までに報告書を公表すること」としています。さらに先進7か国(G7)首脳会議が6月に予定されていますので、遅くとも6月までには削減目標を提出しなければならないことが指摘されています。

わが国は世界における主な排出国の一員であり、しかも排出ガス削減の技術においても世界に貢献しなければならず、京都議定書の場合のように新たな枠組みの構築においても、リーダーシップを取らなければなりません。そのためには削減目標を早期にしかも高い目標レベルで提示し、今後の交渉を有利に進めることが必要と思われます。

おわりに
COP19の合意事項を復習し、またその残された課題がCOP20でどうなったかを学習しました。さらに日本が排出削減目標の提出に遅れをとっており、国際社会における存在感が一段と薄れている状況も理解できました。かって「京都議定書」を提示して世界をリードし、25%削減を宣言した当時の勢いは今はありません。

他の国の温室効果ガスの排出削減目標案としては、米国が26~28%(2025年に2005年比で)、EUは40%(2030年に1990年比で)、ロシアは25~30%(2030年に1990年比で)、その他、スイス50%、ノルウェー40%、メキシコ22%などとなっています。COP19以降の日本が提示している当面の目標値は、3.8%(2020年に2005年比で)としていますが、当然のことながらまったく問題にならないことは明らかです。環境省部内では米国並みの26~28%程度でなければ、他国の納得は得られないのではとの懸念が示されているとのことです。ちなみに他国が日本に求めている削減目標の数値は、2030年に2010年比で30%程度と言われています。

日本が実際にどれだけ排出削減目標を設定できるかの試算では、エネルギー構成比率や省エネ推進の程度によって結果は異なり、2030年に1990年比で10~70%と大きな開きのあることが知られています。気温の上昇を産業革命以前と比べて2℃未満に抑えると言う国際目標の達成に貢献できるよう、わが国もエネルギー政策を早期に確立し削減目標を確定することを期待したいものです。

<参考文献>
1.COP20ホームページ:<http://www.cop20.pe/en/>
2.環境省:国連気候変動枠組条約第20 回締約国会議(COP20)京都議定書第10 回締約国会合(CMP10)等の概要と評価、2014年12月14日 <https://www.env.go.jp/press/files/jp/25615.pdf>
3.環境省地球環境局:COP20の結果及び日本政府の対応、2015年1月 
<http://www.o-cdm.net/network/activity/occf/occ2014/occ2014-2.pdf>
4.国立環境研究所ホームページ:<http://www.nies.go.jp/event/cop/cop20/20141214.html>
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# by wister-tk | 2015-01-25 20:52 | 海外の情報