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環境における森林の役割とは?(1)


1.CO2サイクルにおける森林の役割
森林が持っている機能は多様であり、さらに人間生活にとって極めて重要な多くの機能をもっています。光合成に伴うCO2の吸収、蒸散による高温化防止、物質発散による森林浴などの保健機能、景観形成による風致、レクレーション、アメニティ機能、構造材料としての木材および結果としてのCO2の貯蔵機能、微気候形成による温度、湿度、風、霧などの気候緩和、樹木による雪崩、潮、火災、騒音などの災害の阻止、根の発達による崩壊、浸食、落石なあどの土壌保全、動物の生息域として野生生物の保全、土壌生成による洪水阻止、渇水阻止、水質維持などの水源涵養、等々の機能を持っており、基本的に生態系の活動と密接な関係にあります。

(図 - 森林の生態系機能)
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第1章で述べたように大気中のCO2は、炭素換算で7,500億tCと見積られ、その年間増加量は33億tCです。これに対して化石燃料等からの排出は55億tC/年であり、大気中の年間増加量との差額、38億tC/年がいわゆる「Missing Sink」です。この吸収に対して森林がどの程度寄与しているかが、重要なポイントとなります。最近のデータによれば、低緯度地域(アジア、アフリカ、南米)における森林の減少と劣化による純排出量が16.5億tC/年であり、一方、中高緯度地域(米国、カナダ、EU、ロシア、中国、オーストラリア)では森林蓄積の回復などによる吸収量が7億tC/年あり、純排出量は9.5(-9±5)億tC/年となっています23)。したがって、現時点では全世界的には森林によるCO2吸収機能を期待することができません。いわゆる「Missing Sink」は、現在のところ海洋が吸収しているとの考えが有力です。このことから、今後、森林が地球温暖化防止に寄与するためには、低緯度地域における適切な農業基盤整備や合理的な森林の利用によって森林の減少を抑制し、森林全体を保全するため技術援助が重要となります。(次回へ続く)
          藤井卓著:「環境にやさしいコンクリート」(2001年、鹿島出版)より抜粋
by wister-tk | 2012-04-26 09:36 | 環境学習など
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