3. CO2固定の貯蔵庫としての木材
各種の構造材料を製造する場合のCO2排出量を比較(表2-5)すると、アルミニウムが最も大きく22,000kg-C/m3であり、次いで鋼材の5,320kg-C/m3、コンクリートの120kg-C/m3となり、木材系は製材、合板、パーティクルボードともに吸収固定(マイナス)側にあります。すなわち、天然乾燥の製材で-235kg-C/m3、合板で-128kg-C/m3、パーティクルボードで-60kg-C/m3です。 表2-5 各種材料製造における消費エネルギーと炭素放出量24) 24)坂志朗:材料、vol.47, No.3, p.326, 表Ⅱ, 1998 このように木材には他の構造材料にはないCO2貯蔵能力があり、環境負荷低減の観点からはこの特性を有効に活かして利用することが重要です。木材が他の構造材料である鋼材やコンクリートより劣るのは、強度が低いこと、大断面や長尺の部材が得られにくいこと、接合が難しいこと、などがありますが、後で述べるようにエンジニアリング・ウッドの開発によりその利用範囲が拡大してきました。 木材を用いた建物は当然ながらCO2貯蔵型の構造物となりますので、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて格段に環境調和を満足します。床面積1m2当たりの炭素量で比較(図2-21)すると、木造ではすべてがCO2貯蔵の方向であり、鉄骨造は鉄筋コンクリート造に比べて若干CO2放出が小さくなっています。 図2-21 床面積1㎡当たりの炭素放出量25) 25)有馬孝禮:エコマテリアルとしての木材, 日本建築士会, p.27, 図1-2, 1994 しかし、後で詳しく述べるように、異なる特性の材料を単純に㎥当たりやkg当たりでの環境負荷を判断するのは正しくないことに注意しなければなりません。(次回へ続く) 藤井卓著:「環境にやさしいコンクリート」(2001年、鹿島出版)より抜粋
by wister-tk
| 2012-07-16 11:32
| 環境学習など
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