燃料電池車はほんとうにエコでしょうか?

まえがき
よく知られているように「燃料電池車」は、燃料の水素を酸素と化学反応させて発電し、モーターの回転によって駆動する自動車です。排出するのは反応生成物の水だけなので、極めて環境負荷の少ない車だとされています。本当にそうなのでしょうか?ここでは「ほんとうにエコかどうか」少し学習してみたいと思います。

1.構造が複雑
 非常に単純な比較として構造(メカ)的には、燃料電池車が最も複雑だと思います。次いでいわゆるハイブリッド車、そして現行のエンジン車と続き、最も単純なメカは電気自動車となるでしょう。と言うことは自動車の生産から廃棄までのライフサイクルにおいて、まず生産の段階で燃料電池車は環境負荷が大きくエコカーとは言えないでしょう。

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出典:http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-33-90/yqsbc547/folder/1455491/36/59937336/img_0


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出典:http://namikidokei0505.seesaa.net/article/122412576.html

2.水素の製造コスト
 さらに運転に必要な燃料を水素とした場合、水素の製造過程における温室効果ガスの排出が問題となります。水素の製造方法には種々ありますが、大規模に生産するためには一般的には水の電気分解となるのではないでしょうか。つまり水素の製造には電力が必要になる訳です。安価な水素を得るためには安価な電力が必要と言うことです。当然ながらここで必要な安価な電力は、環境負荷のないことが重要ですから、いわゆる再生可能エネルギーの部類に入る電力となります。
 このような環境負荷のない再生可能エネルギーとしての電力が豊富に得られるならば、運転・走行モードにおいては、水素を燃料とした燃料電池車はエコカーと言えるでしょう。

3.エネルギー効率の問題
しかし、大量の水素を安価に製造することを可能とするほどの安価な電力が供給できるのなら、敢えて電気エネルギーを水素エネルギーに変換して利用するよりは、電気エネルギーそのものを直接利用した方が、エネルギー効率が高いのは明らかです。当然のことながら、ここで想起されるのが電気自動車の利用です。

4.電気自動車
 電気自動車は、現行のエンジン自動車のエンジン部分を電気モーターに変換すればメカ的にもシンプルとなり、新たな技術開発をほとんど要せず目的を達成できると思われます。当然ながら所要の走行距離を得るためのバッテリーの開発が重要な課題となることは明らかです。

電気自動車の仕組み

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出典:経済産業省HPhttp://www.meti.go.jp/policy/automobile/evphv/what/ev.html


電気自動車の実例(1回の充電での走行距離:390Km)

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出典:BMWのHP:http://www.bmw-i.jp/BMW-i3/ 


おわりに
 と言うことで結論はほぼ見えています。水素燃料搭載装置の安全性確保や水素燃料供給システムなどの技術開発や新規のインフラ整備を必要とする燃料電池車よりは、シンプルなメカとエネルギー利用効率の良好な電気自動車を目指して高性能バッテリーの技術開発に全力を挙げるのがベストウェイと確信しています。

 米国ではすでにハイブリッド車をエコカーの認定から排除する方向で動いており、また欧州ではすでに電気自動車への転換を想定して技術開発が進んでいると言われています。わが国もこの方向に舵を切り国際基準に乗り遅れないよう積極的に関わって行くべきではないでしょうか。


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by wister-tk | 2014-10-18 20:18 | 環境学習など
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