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豪雨による土砂災害はどうして起こるのでしょう?

このところ豪雨による土砂災害が多発していますが、その原因のひとつにスギ林などの人工林(人工植生)の放置が考えられます。スギは、根茎が浅くしかも被覆面積が狭いため頭デッカチで倒壊し易いのです。スギ林全体がなぎ倒された典型的な崩壊移動の様子をテレビでもよく見ることができます。特に間伐や枝打ちなどの管理されない過熟の人工スギ林では、下草などの成長も阻害されて斜面の保護層が不足し、豪雨時に土砂災害の発生原因となるのです。

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                 土木学会・斜面工学研究小委員会速報[2003.7.28]より

一方、自然植生は、針葉樹、広葉樹、さらに下草類など多様な植物によって構成されています。広葉樹は根が深く被覆する面積も広く、さらに落葉によって腐食度を生成し斜面を安定した状態に保持しています。自然植生と人工植生の崩壊の相違は、自然植生では崩壊が表層に留まるのに対して、人工植生では崩壊が深層にまで達するのが特徴です。過日、九州や中国地方で発生した土砂流入や土石流の災害は、こうした人工植生であるスギ林での斜面の深層崩壊が大きな要因であったと考えられます。

土砂流、土石流、地滑りなどに対するこれからの防災技術は、砂防ダムなどの土木工学的な技術だけでなく、表面を覆う植生を活用することによって斜面の安全維持を図ることができるのです。そのためには人工林や植栽林あるいは不安定な斜面林は、多様性に満ちた自然な植生に戻す必要があります。
by wister-tk | 2010-07-29 11:03 | 環境学習など