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COP10は環境問題の「多様性」を示した!!

COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)は、2010年10月18日から名古屋市で始まりました。全体会議の議長は、松本環境大臣が担当しました。
「生物多様性条約」は、1980年代におけるアマゾンの熱帯雨林などの森林破壊による生物種の絶滅への危機感などから、地球上の生物種を保存するための国際的な対策として、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミットで採択されました。


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本来は「生物種の保存」と言う純然たる環境問題として生態系の保全が議論の中心であったはずですが、COP10ではもはや純然たる環境問題を超えて「経済問題」の領域へ進んでしまいました。さらに問題は、先進国対途上国と言った南北問題へと変貌し、さらに政治問題へと発展してしまったのです。

議論の焦点は、「生物遺伝資源」をどう扱うかにあてられました。医薬品などの原料となる有用な植物や微生物である「生物遺伝資源」の多くは、途上国が供給源になることが多いので、「生物多様性条約」では原産国の主権を認め、持ち出しには事前同意が必要であると規定しています。しかし、生物資源の範囲などがあいまいなため、途上国側はこうした規定を明確化するよう求めてきました。

主要議題が、生物遺伝資源の利用によって得られる利益の配分ルールとなる「名古屋議定書」となり、本来の目的である「多様性保全の世界共通目標」の合意が出来ない可能性も憂慮されました。生物遺伝資源からの開発利益の一部を原産国に配分するための国際ルールとなる「名古屋議定書」をめぐる問題点としては、

(1)議定書の効力の及ぶ範囲や時期など重要事項について途上国と先進国が対立、
(2)議定書の適用時期については、アフリカ諸国は大航海時代や植民地時代も含む過去に入手した、生物資源から開発された薬品などの利益還元を要求、
(3)日本やEUなど先進国側は、利益還元が際限なくなるとして時代を遡っての適用を拒否し、適用時期は新議定書の発効以降とすると主張、
(4)先進国から資金支援があれば主張を軟化させると一部の途上国が提案、
(5)先進国側は「重要課題で合意できないまま資金援助の増額の議論はできない」(EU)と反論、
(6)生物遺伝資源の不正取得に対する監視について議定書にどう盛り込むかも問題に、等々


120カ国以上の参加が見込まれる閣僚級会合初日の27日までに原案合意を目指していましたが、対立は極めて深刻となり29日のCOP10最終日の議定書採択は、難しい状況と思われました。しかし、30日の未明までかかった討議の結果、幸いなことにCOP10議長である松本環境大臣の「議長提案」が採択され、生物遺伝資源の利益配分ルール「名古屋議定書」と、生態系保全のための世界共通目標「愛知ターゲット」などを正式に採択して閉会することができました。

★生物遺伝資源の利益配分ルール「名古屋議定書」関係の主な結論:
(1)植民地時代までさかのぼって利益配分することは認めず、議定書の発効以降に対象を限定する。
(2)製品の収益の一部を支払い、研究や技術面などでも協力する。
(3)生物遺伝資源の不正取得の防止措置については、利用国が監視部署を一つ以上設置する。
(4)企業が製品を特許申請するさいの遺伝資源の情報開示は行わない。


★生態系保全のための世界共通目標「愛知ターゲット」の主な結論:
(1)2020年までに生態系保全を確保する目的で、生物多様性の損失を止めるための行動をおこす。
(2)森林を含む動植物の生息域の損失速度を可能なだけゼロに近づけ、少なくとも半減させる。
(3)「保護区」の目標については、少なくとも陸域で17%、海洋では10%を効果的に保護する。
(4)「愛知ターゲット」を実施するための資金を現在よりも大幅に増やす。

今回はほぼ不可能と思われた「名古屋議定書」が採択されたことは、主催国であるわが国とってもまた世界にとっても大変幸運であったと思います。議長としての松本環境大臣ならびにスタッフの皆さんの粘り強いご努力に心から感謝いたします。
今回のCOP10では、生物多様性に係る環境問題が、経済問題、政治問題に深く関わっていることを示し、まさに「環境問題の多様性」をクローズアップする結果となりました。特に今後への教訓として、「途上国との対話や情報交換がますます重要になる」と言うことだと思います。
さらに詳しくは「COP10日本政府公式ウェブサイト」をご覧ください)
by wister-tk | 2010-10-31 11:37 | 環境学習など