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COP16とは?その結果と課題(2)

「京都議定書とカンクン合意」
前回では、2010年11月29日から12月10日までメキシコのカンクンで開催されたCOP16(国連気候変動枠組条約第16回締約国会議)で、「京都議定書」に代わる具体的な新しい枠組みの合意書が作成できなかったことを学習しました。その結果、温室効果ガス(CO2)排出率では世界第1位の中国(21%)と第2位の米国(20%)等に排出規制義務を負わせることに失敗したことを知りました。

そこで今回は、「京都議定書」の内容について改めて学習し、現在これを順守して温室効果ガスの排出削減に各国がどのように対応しているかをみたいと思います。

「京都議定書」の概要:(わかり易い解説としてこちらも参考にしてください
「京都議定書」は、気候変動枠組条約に基づいて、1997年12月11日に京都で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)で議決した議定書です。議定書(protocol)とは、国家間で結ばれる国際法上の成文法で「広義の条約」にあたります。
先進国における温室効果ガス排出の削減率を、1990年を基準として各国別に定め、約束期間内に目標値を達成することを決定しました。
決められた各国の温室効果ガスの削減目標は、2008年から2012年までの期間中に、先進国全体の6種の温室効果ガス(図参照)の合計排出量を、1990年に比べて少なくとも5%削減することを目標に決めました。各国の削減目標は次のとおりです。

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環境省資料より作成(硝子繊維協会HPより)

-8%:EU 15カ国
-7%:アメリカ合衆国(離脱)
-6%:カナダ、ハンガリー、日本、ポーランド
-5%:クロアチア
±0%:ニュージーランド、ロシア、ウクライナ
+1%:ノルウェー
+8%:オーストラリア
+10%:アイスランド

なお、EUは共同で削減を行うことが認められていて、京都議定書策定以前から化石燃料由来の排出量を減らしてきた北欧諸国などは、目標値が緩く設定されています。例えばスウェーデンは、+4%が認められています。

これに対して各国の温室効果ガス(CO2)排出率(2007)は、前回、図で示したように排出規制義務のない国が72%を占め、このうち中国:21%、米国:20%、インド:5%、その他となっています。一方、排出規制義務のある国は28%にしかすぎず、ロシア:5%、日本:4%、ドイツ:3%、カナダ・英国・イタリア:2%、その他となっています。

温室効果ガスの人為的排出量(72億Cton/年)と自然吸収量(31億炭Cton/年)をバランスさせて、全地球の温室効果ガスの濃度を安定化させるためには、自然吸収量を上回る削減が必要です。下に示すイメージのとおりこうした削減は、極めて困難なことは容易に理解できます。

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「カンクン合意」の概要:(理解を助けるためにこちらも参照してください
それではCOP16でのいわゆる「カンクン合意」の内容はどうなったのでしょうか?
現行の「京都議定書」で定められた温室効果ガス削減の約束期間は、2012年で終わるので、その後の枠組みの構築がCOP16の主要な課題だったのです。ところが今回のCOP16では、「京都議定書」の約束期間を2013年以降まで延ばせばよいではないかという、現在、排出規制義務を負っていない国々からの強い意見が出ました。いわゆる「京都議定書の単純延長論」ですが、途上国や中国などの新興国にこの要求が強かったのです。

しかし、前に述べたように主要排出国の中国と米国が削減義務を負わない現行の制度は、まったく実効性がないことは明らかです。新興国や途上国の排出が増加した結果、削減義務を負っている日本やEUなど先進国の排出量は、もはや世界全体の27%にすぎないことは先にも述べました。

「カンクン合意」では、産業化以前からの気温上昇を2℃以内に抑えるよう努力すること、さらに気温上昇を1.5℃以内に抑制するための技術開発の必要性を訴えています。また森林の破壊防止対策や、各国の気候変動対策の実施状況を検証することでも合意しました。

「カンクン合意」の内容については、次回に学習することにしましょう。
by wister-tk | 2011-02-21 15:43 | 環境学習など