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自然災害は環境問題でしょうか?

2011年3月11日、14時46分、三陸沖を震源とする「東北地方太平洋沖地震」(M9.0、最大震度7)が発生しました。強い地震動による長時間の揺れと最大高さ23m以上の津波により甚大な被害を受けました。被災地域は青森・岩手・宮城・福島・茨城・千葉県など広域にわたっています。さらに福島原子力発電所も設計条件を超える津波に襲われ、制御能力を失って放射性物質を放出するなど危機的な状態に陥っています。

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<地震揺れの広がり・東大地震研>

数分間揺れ続けた日本列島の様子を示すアニメーションは、こちらからご覧ください。
<数分揺れ続けた日本列島・東大地震研(動画)>

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陸前高田市:海側から

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陸前高田市:残ったホテル3Fまで浸水

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陸前高田市:高台は被害なし

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大船渡市:低地A

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大船渡市:低地B

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大船渡市:高台は被害なし

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東北新幹線:高架橋・橋脚の破壊

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常磐高速道路の被害
 (kenplatznikkeibp.co.jp ケンプラッツ土木より)


「自然災害」は、一般的にはいわゆる「環境問題」の範疇には入れていない場合がほとんどだと思います。しかし私は、自然災害はまさしく「環境問題」だと考えています。環境問題は、「人の生存を脅かすあらゆる事象」だと考えるからです。
現在、われわれが対象としている環境問題は、大気、水域、土壌の化学汚染などのいわゆる「公害問題」に端を発しています。ですから通常の環境問題は、人の生活や生産活動に起因する人為的な結果であり、環境問題の相互の構図は下の図に示すように、発生源は人為的であり発生の場は生産や生活の環境から自然・生態系さらに大気環境へと拡大し、さらにローカルな問題から地球規模のグローバルな問題にまで及んでいる、と言った構図になっています。当然ことですが原発事故による放射性物質の放出は、人為的な環境汚染そのものであり、典型的な公害問題であり人為的災害です。いわゆる「人災」に他ならないと思います。今回の福島第一原発の場合は、自然災害に起因する人為的災害と言えるのではないでしょうか。

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<環境問題の構図(人間生活と環境問題)by FUJII Tak>

一方、自然災害はこうした環境問題の枠組みの外部から加えられる「外的負荷」であり「外圧」だと思います。いわゆる「環境問題」を論ずる時、われわれは通常はこうした「外圧」を無視して、つまり「外的負荷」のない「安全な状況」を前提としているのではないでしょうか?言いかえると生活の基礎をなす「安全」が保障されなければ、いわゆる「環境問題」もないことになり、たとえば「地球温暖化防止対策」も実施の意味を失ってしまうと思います。

今回の大震災を機に、すでに経済界の動きの一つとしてCO2の排出を無視した石炭火力発電への転換やCO2排出率の国際公約の破棄などが論じられています。このことはとりもなおさず営々と取り組んできた環境問題も、ただ一度の自然災害で無に帰してしまうと言うことです。

ではどう対処すればいいのでしょうか?今回の震災でよく使われた言葉に「想定外の・・・・・」があります。ここに大きな問題があり、鍵となるポイントがあるような気がします。まず第1に「自然災害問題」は「環境問題」の基礎をなすものであり、自然災害に対する安全なくして「環境問題」は存在しないことを認識しなければならないと思います。第2に環境保全を達成するためには、あらゆる手段を講じても自然災害に対する安全性を確保しなければならないと思います。この安全確保のためには場合によっては費用対効果を無視してでも対処しなければならないのではないでしょうか。

今回の原発事故においても安全性に対する典型的な問題点があります。それは原子力発電所の設計条件の問題、つまり津波および地震動に対する条件設定です。当初の条件は、一応当時の最善の対応を考えての制約条件の設定だったかも知れません(もっともこの初期の設計制約条件が正しかったかどうかも問題にはなりますが・・・・・)。さらに原発が造られてから40年と言う年月の経過とともに、地震動や津波などの外的条件および原子炉など原発自体に関する研究によって、科学技術の進展があった訳です。これに対応した対策として原発自体の構造的な補強や被害対策の改善など、果たして十分な配慮がなされ実施されてきたのだろうか?と言う疑問は大きいと思います。
今回の大震災を機に「自然災害に対する安全」の考え方を根本的に変えなければならないと思いますが、皆さんはいかがでしょうか?
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by wister-tk | 2011-03-29 16:53 | 環境学習など