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COP16とは?その結果と課題(3)

前回まででは、メキシコのカンクンで開催されたCOP16で、「京都議定書」に代わる具体的な新しい枠組みの合意ができず、その結果、温室効果ガスの排出率では世界第1位の中国(21%)と第2位の米国(20%)等に排出規制義務を負わせることに失敗したことを知りました。
そのうえで改めて「京都議定書」の内容について検討し、現在「議定書」を順守して温室効果ガスの排出削減に各国がどのように対応しているかを学習しました。

そこで今回は、「カンクン合意」の内容について学習し、COP17(南アフリカ、ダーバン、2011)での課題等について学習したいと思います。

「カンクン合意」の内容について
「カンクン合意」の内容の要点を、京都議定書締約国会議(CMP)のAWGと気候変動条約締結国会議(COP)のAWGの成果に分けて示すと下の図に示すとおりです。

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<図-1:カンクン合意>
気候ネットワーク(2010/12)「COP16/CMP6(カンクン会議)の結果について」より引用
詳しくはこちらをご覧ください。


「カンクン合意」の内容をもう少し詳しく述べると以下のようになります。

1.気候変動条約締結国会議:COP
●共通認識と今後の検討について:
○長期目標として平均気温上昇を2℃未満に抑えることを確認
○気温上昇1.5℃以下に抑制強化することを検討
○この見直しを2013年に開始し2015年までに終了

COP17での検討事項:
○2050年の長期排出目標の確認作業の合意
○各国と全世界の排出量を可能な限り早期に頭打ちにすることの合意

●先進国の排出削減目標・削減策について:
○削減の数値目標は、コペンハーゲン合意(COP15)に基づいて検討
(日本は1990年比で25%削減を表明:このブログの2009年12月2日を参照してください)
○25~40%削減に向けて更に目標の引き上げを要請(気温上昇2.0~2.4℃に抑えるため)
○基準年を1990年とし各国が約束期間の平均排出量(削減数値目標)に準拠することに合意
○具体的なルールについては交渉を継続、吸収源は情報分析をすることを決定(CO2回収貯留技術を認めて方法論を検討する)

●途上国の排出削減策(NAMA)について:
○自主的に削減を行い温室効果ガスの測定・報告・検証や国際的なチェックを通じて実質的な削減の実現を目指すこと
○先進国の支援を受けて削減を行った場合、指針に基づいて国際的協議・分析を受けること
○途上国の排出削減の行動の登録・報告・専門家による分析も含めた「見える化」の仕組みを決定(これにより中国はじめ主要途上国が先進国とともに取り組む場が作られた)

●途上国における森林減少等からの排出削減策(REDD+)について:
○森林減少対策の活動を展開する考え方を決定(途上国へのさまざまな支援、資金援助案はCOP17で検討)

●資金について:
○2010-2012年に300億ドルの新規の追加的資金を約束
○先進国による2020年まで毎年1000億ドルの資金供与を承認
○途上国の温暖化対策支援のため「グリーン気候基金」を設立し資金運営主体に指定
○新規の多国間資金供与は主に「グリーン気候基金」を通じて行うこと

●技術開発と技術移転について:
○途上国の削減対策に対する先進国の技術移転の国際的支援機構の策定(技術執行委員会・気候技術センターの設置など)

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<図-2 ホッキョクグマの大ピンチ>
画像ピクチャーズ(http://gazopic.blog71.fc2.com/blog-date-200809.html)より、
2008/09/17

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<図-3 ツバル国州都・フナフチ環礁>
NGO Tuvalu Overview(http://shopblog.slowbusiness.org)より

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<図-4 ツバルの海面上昇(満潮時には地中から海水が湧きだす)>
PORTAGIOIE[ポルタジョイエ](http://peaceman.jugem.jp/?eid=333)より


2.京都議定書締約国会議:CMP
○「京都議定書」の延長は第1約束期間(2008~2012年)と第2約束期間(2013年以降)に空白期間を生じないこと
○排出削減目標の水準を1990年比25-40%の削減幅にしたがった引き上げを当該国に要請
○「京都議定書」を延長するかどうかを含めて合意時期の明示はない
○第2約束期間の基準年を1990年とすること
○京都メカニズムおよび森林等吸収源等の利用は継続して可能とすること
○締約国には第2約束期間の削減に加わらない権利があることを明記

◎2013年1月1日以降も先進国の数値目標を国際的に法的拘束力あるものにするには、2011年のCOP17(南アフリカ・ダーバン会議)で改正案を採決し、さらに2012年10月3日までに京都議定書締約国の4分の3(144カ国)の批准が必要です。


2013年以降の温暖化対策の実質的な枠組みの構築は、今年末に南アフリカのダーバンで開かれるCOP17に持ち越されました。対策に「空白期間を生じさせない」という名目で、今後、京都議定書の延長論がより強力に蒸し返される可能性もあると考えられています。
現行制度で削減義務を負わない新興国や途上国にとっては、排出を増やしつつ経済発展を加速できることから、「京都議定書の単純延長論」は自国にとって都合がよいと言えるでしょう。しかし、「単純延長論」は、地球を破壊の道へと導く暴論と言えるでしょう。

次回はCOP16カンクン以降のCOP17ダーバンへ向けた動向と解決の枠組みについて学習したいと思います。
by wister-tk | 2011-04-23 16:57 | 環境学習など