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COP16とは? その結果と課題(4)

前回まで3回にわたってCOP16について学習してきました。これによって「京都議定書」に代わる具体的な新しい枠組みの合意ができず、その結果、温室効果ガスの排出率で世界第1位の中国(21%)と第2位の米国(20%)等に排出規制義務を負わせることが出来なかったことがわかりました。
そこで「京都議定書」の内容についてあらためて検討し、現在「議定書」を順守して温室効果ガスの排出削減に各国がどのように対応しているかを理解し、そのうえで「カンクン合意」の内容について学習しました。
今回は4回目として、まず「カンクン合意」の内容を簡単に復習し、2011年、南アフリカ・ダーバンで開催されるCOP17へ向けた課題について学習したいと思います。

1.「カンクン合意」の概要
カンクン会議での合意は、①気候変動条約締約国会議(COP)と②京都議定書締約国会議(CMP)の2つの会議の成果となっています。その概要は以下に示すとおりです。(前回の要約)

(1)気候変動条約締約国会議(COP)での合意
○長期目標として平均気温上昇を2℃未満に抑えること
○先進国の排出削減の数値目標は、コペンハーゲン合意(COP15)に基づくこと
(日本は1990年比で25%削減を表明)
○気温上昇2.0~2.4℃に抑えるため更に削減目標を25~40%に引き上げること
○途上国は自主的に削減を行い、国際的な検証を通じて実質的な削減を目指すこと
○途上国の温暖化対策を支援するため「グリーン気候基金」を設けること
○途上国の削減対策に対する先進国の技術移転の仕組みを決めること

(2)京都議定書締約国会議(CMP)での合意
○第1約束期間(2008~2012年)と第2約束期間(2013年以降)の間に空白を生じさせないこと
○先進国の排出削減目標を1990年比25~40%削減へ引き上げるよう促すこと
○締約国には第2約束期間の削減に加わらない権利があること
○「京都議定書」を延長するかどうかを含めて合意時期の明示はなされなかった

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<アザラシの赤ちゃん、生存の危機:流氷が大きく変化している(カナダ・セントローレンス湾)http://goodnews-japan.net/news/team-80/2009/03/25/198より>

2.COP17への課題
2013年以降の温暖化対策の実質的枠組みの構築は、2011年末に南アフリカのダーバンで開かれるCOP17に持ち越されました。現行制度で削減義務を負わない新興国や途上国にとっては、排出を増やしつつ経済発展を図れることから、「京都議定書の単純延長論」は自国にとって都合がよいと言えるでしょう。温暖化対策に「空白期間を生じさせない」という名目で、今後、京都議定書の延長論がより強力に推進される可能性もあると考えられています。

先進国の数値目標を2013年1月1日以降も国際的に法的拘束力あるものにするには、2011年のCOP17(南アフリカ・ダーバン会議)で改正案を採決し、さらに2012年10月3日までに京都議定書締約国の4分の3(144カ国)の批准が必要です。2011ダーバン会議における最大の課題は、①法的に拘束力のある枠組みにすることが出来るかどうか(COP17)と②「京都議定書」の第2約束期間を継続することが出来るかどうか(CMP7)の2点ですが、いずれも極めて厳しい状況にあると言われています。

ダーバン会議に向けた課題の概要は次のようになります。
①「カンクン合意」に基づいた詳細な「次期の枠組み規則」を作成できるか?
②先進国が排出削減の数値目標の約束を具体的にどんな方法で実行するのか?
③「京都議定書」の第2約束期間への継続を空白期間なく実施できるかどうか?
④国際的な「次期の枠組み規則」の最終的合意の法的な形式をどうするか?

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<洋上風力発電施設:ミッデルグルンデン・デンマーク http://www.power-technology.com/projects/middelgrunden/middelgrunden16.htmlより>

国際的合意の法的な形式
次期枠組みの「国際的合意の法的な形式」については、次の3案が考えられています。
①米中をはじめ全ての主要排出国を対象とする法的拘束力のある「ひとつの新議定書」:
日本はじめ多くの先進国が支持する公平かつ実効性ある枠組みとなりますが、途上国は強く反発しています。
②「京都議定書の改定」+「法的拘束力のある新たな議定書:
米国と途上国は新議定書の法的拘束を受けますが、中国などの途上国は先進国に更なる削減を要求しており、一方、米国は中国などの途上国が削減義務を負わない枠組みには反対しています。
③「京都議定書の改定」+「何らかの締約国会議(COP)の決定」:
COP決定では米・中・途上国に何らかの削減を求めていますが、法的拘束を受けないためその実効性が疑われています。

次期枠組みの構築については、COP17で「新たな議定書」を策定するのは困難が予想されること、また、大半の締約国が京都議定書延長を容認する立場であること、などから「京都議定書の単純延長」を回避できるかどうかは予断を許さない状況にあります。
<詳しくは下記の資料をご覧ください>
「白戸千啓:COP16の概要及びCOP17に向けての我が国の課題、立法と調査、No.316」
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by wister-tk | 2011-06-17 20:10 | 環境学習など