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カナディアンロッキーを訪ねて<環境保全の視点で>

今年(2011年)の6月から7月にかけてカンディアンロッキーのジャスパー、バンフ、ヨーホーの3つの国立公園とブリティッシュ・コロンビア州のウェルズ・グレイとマウント・ロブソンの2つの州立公園を訪ねました。

カナディアンロッキーの観光ツアーには、必ずと言っていいほどナイヤガラが組み込まれています。それと同時に通常のパックツアーでは、時間の節約のためポイント間を航空機で移動するのが一般的です。飛行機による移動は時間の節約の点では合理的ですが、あちこちを見て歩くと言う目的には適しません。

今回のツアーは、コースとしては一般の観光ルートでしたが、ナイヤガラを除外したバンクーバーからバスで出発しバンクーバーに戻るコースでした。このため各地でこまめに下車して観光や観察が出来、チョットしたハイキングや湖上のクルーズ、ボートでの川下り、美しい草花、さらに熊、エルク、ゴート、見慣れない野鳥など予期しない野生動物との数々の出会いがありました。

ルートの概略は、バンクーバー発 → カムループス → マウント・ロブソン(カナディアンロッキー最高峰、3,954m) → ジャスパー → マリ-ンレイク → コロンビア大氷原 → レイクルイーズ → モレーンレイク → バンフ → ヨーホー → エメラルドレイク → オカナガン(果樹園・ワイナリ-) → バンクーバー着です。


         マウント・ロブソン              マリーンレイク
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       コロンビア大氷原               レイクルイーズ
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         モレーンレイク              エメラルドレイク
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カナダにおける国立公園や州立公園の運営目的は、まず第一に公園内の自然生態系の維持・保全、そして第二に国民が自然地域を訪ねて学習し楽しめるようにすることとしています。森林資源は、生態系の保全維持の観点から、また国民の環境、経済、健康、そして公共の福祉にとって重要な位置を占めるとの考えから、森林の維持管理は特に重要となっています。たとえばブリティッシュ・コロンビア州では、森林の利用は州のライセンスと法律によって厳しく管理・規制れています。また森林資源だけでなくきれいな水や魚、そして野生動物を将来の世代に残すことができるように、さまざまな対策を行っています。

エメラルドレイクの草花
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こうした自然生態系の保全・維持の考え方のもとで、カナディアンロッキーの国立公園に入る人は、入園料の支払が義務づけられています。徴収した入園料は、動物保護、公園の整備など環境の管理・保全に使われています。カナディアンロッキーの国立公園を訪れる人は、公園ゲートや観光案内所などで滞在日数に応じた入園料を支払わなければなりません。日本からのパックツアーの場合は、通常は旅行代金に含まれているようです。

参考までに入園料は、大人:1日間;735円、1年間;5,080円、家族:1日間;1,470円、1年間;10,230円 (2010/4-2011/3の例、$1.00 = \75として換算)となっています。なお国立公園の入園料は、毎年4月1日に変わりますが、最新の情報はパークス・カナダの公式ぺ-ジで確認できます。(http://www.pc.gc.ca/apps/tarifs-fees/tarif-fee_E.asp?Park=1) 

      野生動物の移動用の橋             太陽光発電のトイレ
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また、カナダでは魚釣りをするのにもライセンス(有料)が必要となり、毎年、更新しなければなりません。ライセンス料は、年齢によりまた州居住者か州外居住者か外国人かによっても違います。16歳未満は無料で、65歳以上は大人料金のほぼ半額となります。魚釣りに関する「規則」として、釣りが許される場所、釣っていい魚の種類、また、持ち帰ることができる魚の大きさや数などがこまかく決められています。

一例としてアルバータ州の釣りライセンスの料金を示すと次のとおりです。
州居住者(16~64歳):1年間;1,925円、州外居住者(16歳以上):1年間;1,925円、外国人:1年間;5,320円、5日間;3,570円、1日間;2,000円($1.00 = ¥75として換算)

釣りの他にハンティングやトラッピング(ワナによる毛皮用動物の捕獲)のライセンスが詳細に決められています。
詳しくはこちらを参照してください 
Myワイルド・アルバータ ( http://www.mywildalberta.com/Default.aspx 


       エルク                    マウンテンゴート
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●公園内の主なルールは次のようになっています。

1.野生動物には近づかず十分な距離をおくこと
2.人間の食物は野生動物から遠ざけること
3.ペットにはリードをつけること
4.公園内の全ての物は持ち出さないこと
5.立ち入り禁止・制限など公園からの指示に従うこと
6.国立公園の職員への情報提供に協力すること


ゴミ箱:ジャスパーにて
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ゴミ箱:スパハット滝にて
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ゴミ箱:スパハット滝にて(熊の注意とボトル・空き缶説明)
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ウェルズ・グレイ州立公園のスパハット滝の駐車場で、ゴミ箱にドイツ語の「注意書き」を見つけました。

熊に注意
・食べ物で熊を誘わないでください
・キャンプ場は清潔にして臭いのないように保持してください
・食料品は熊に狙われない安全な場所に保管してください
・人間の食べ物を与えられた熊は人を襲うようになります

何故ドイツ語で掲示してあるのか担当の人に聞いてみたところ、大型キャンピングカーを使ったドイツ人が相当数入園しているためとのことでした。最近、カナディアンロッキーは、特にドイツの人に人気があるそうです。

これまでカナディアンロッキーのツアーをとおしてカナダの国立公園と自然環境に対する対応をわずかながらも見てきました。これから解ったことは、やはりお金をかけてしっかりと自然生態系を保護・保全している姿勢でした。わが国と比べると大変な相違があると感じました。
カナダの国立公園の総面積は29万平方キロメートルに対して、わが国はその約7%の2万平方キロメートルです。年間予算はカナダが約700億円(国民1人当り約25万円)に対して、わが国では予算としては98億円であり、公園の面積比で比較すると14%となりカナダより多いのですが、国民一人当たりの負担額は約80円となります。また入園者数は、カナダでは約1千3百万人に対してわが国は約4億人と言われています。(2007年のデータ)

カナダでは入園料、釣りやハンティングのライセンス料など、種々の場面で受益者負担の考えが徹底しているように思われます。この点がわが国には欠けているのではないでしょうか?有料化は自然保護や公園の整備の上で財政面から貢献すると同時に、入園者の自然保護や環境対応への意識を高める環境学習的な効果も大きいのではないかと思います。
わが国においても一部で有料化が試行されていますが、今後は全国的に制度化されることを期待したいものです。
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by wister-tk | 2011-09-26 21:17 | 海外の情報