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COP17への動向 <日本の主張はとおるか?>


1.温暖化対策パナマ会議の結果
2011年10月1日から7日間、パナマ市で「国連気候変動枠組条約」と「京都議定書」についての特別作業部会が行われました。この会議は、今年11月下旬から南アフリカのダーバンで開催される「第17回気候変動枠組条約締約国会議(COP17)」の前に行われる最後の準備会議となりました。この会議では、昨年、メキシコで行われたCOP16での「カンクン合意」に基づいて、COP17での議論の基礎となる問題点が検討されました。
「パナマ会議」での結果の概要と日本の立場について以下にまとめてみました。

(1)京都議定書の延長問題
①作業部会では、途上国にも温室効果ガスの排出対策を求める先進国と、先進国こそが率先して排出対策に取り組むべきだ、と主張する途上国が激しく対立しました。
②京都議定書により現在は削減義務を負わない途上国は、京都議定書を引き続いて第2約束期間(2013年以降)へ延長することを強く主張しました。
③日本は、気候変動問題の解決には全ての主要排出国の参加が必要であることを主張し、2大排出国の中国と米国が削減義務を負わないのは不合理だとして、京都議定書の第2約束期間への延長には反対の立場を強く主張しました。カナダとロシアも日本の意見に賛同しました。
④こうした経緯から他の国が「議定書の延長」を決定した場合、日本を含めた3カ国は、2013年以降削減義務を負わない「空白期間」に入る可能性があります。

(2)議定書の暫定的延長への調整
①締約国は、交渉の途中から議定書を「暫定的に延長すること」で調整に入りました。暫定的延長案は、温暖化対策の法的枠組みが国際的に途切れることを回避する、「つなぎ」を目的としています。
②EU、オーストラリア、ノルウェー、ニュージーランドなどは、近い将来、ポスト京都の確実な実現を条件に「暫定延長」に賛成する可能性が高いと言われます。
③しかし、暫定延長を反映した改正議定書を2012年末までに各国が批准するには時間的に無理があるため、「締約国決定(COP決定)」という形で、運用上、2013年以降も削減義務期間を設けるという案も検討されているようです。

(3)新たな枠組みの採択は絶望的か?
①日本は、全ての主要国が参加する「公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築」を前提としているため、「新たな枠組み(ポスト京都)」は、全ての主要国が参加する「気候変動枠組条約作業部会(AWG-LCA)」の場で検討することを主張しました。
②各国の主張が対立したため、特段の進展がないままに今回の準備会議を終えたので、COP17での「新たな枠組み(ポスト京都)」を採択することは、ほぼ絶望的になったと言われています。

                COP17へ向けた温暖化対策の動き
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2.日本の途上国支援策と原発のかかわり
①日本は途上国の地球温暖化対策支援として行う「クリーン開発メカニズム(CDM)」において、原子力発電施設を含めることを明らかにしました。東京電力福島第1原発事故に見舞われた日本の発言だけに、論議を呼んだと言われています。
②また日本は大変不名誉な「化石賞」を受賞しました。この賞は、国際環境NGO「CAN」が温暖化交渉で消極的な行動をとった国に贈る賞です。「福島の原発事故では、放射性物質を地球規模で放出したにもかかわらず、日本は国際的に迷惑をかけた自覚がまったくない」とCANは批判しています。
③「温室効果ガス削減策の対象から原発を除外するように」との議長からの要請に対して、「COP17で決めるべきだ」との意見に日本・インドが賛同しましたが、全体としての合意は得られず結論が先送りとなりました。

3.日本政府の最近の動き
①日本政府は、「新たな枠組み(ポスト京都)」に向けた「移行期間」の設置を提案する方針を10月20日までに決定しました。これは2012年末に期限切れとなる京都議定書に代わる温室効果ガス削減の暫定指針となるものです。
②「移行期間」中は、主要排出国が自主的に提示した削減目標について、その達成度を相互評価することとし、これには中国および米国も含むものとしています。さらに途上国にも削減行動の報告を求めるとしています。
③ポスト京都に向けた「移行期間」の設置は、2013年以降に生じる温暖化対策の「空白」を回避する意図があります。


以上のように「パナマ会議」は、COP17を成功させるための貴重なプロセスのひとつでしたが、重要な課題については、残念ながら対立のみが目立った結果となりました。
何と言っても2013年以降のいわゆる「ポスト京都」の新しい枠組み作りに合意できるかどうかが、最大の課題となりそうでです。これまでの経過では、日本の主張である京都議定書の第2約束期間への延長反対の意見は少数派となり、事態は「日本バッシング」から「日本パッシング」へと変化していると言われています。
このことには「福島の原発事故」に起因する温暖化ガス排出削減6%の達成が難しくなったこと、および途上国の地球温暖化対策の支援事業において原発の利用を表明したことも一因かも知れません。
少数意見となった日本が立場を維持できるのか、また何よりもグローバルな温暖化対策そのものが形骸化すのではないかが心配です。11月下旬から南ア・ダーバンで行われるCOP17の行方がおおいに注目されます。

[参考資料]
1)外務省HP:国連気候変動枠組条約に関する特別作業部会等 結果概要 2011/10/7
2)毎日・jp:2011/10/8(毎日新聞 東京夕刊)
3)Asahi.com:2011/10/20
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by wister-tk | 2011-10-26 16:34 | 環境学習など