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環境における森林の役割とは?(4)

4. 環境保全と資源循環が適合する材料
いままでに見てきたように木材はCO2の貯蔵という点で優れていますが、さらに環境保全に必須条件である「物質の循環」という面においても、特に優れた特徴(図2-23)を持っています。

図2-23 木材リサイクルの流れ
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森林を伐採して丸太材を生産し、これを加工して製材、集成材、合板などを製造し、また加工時に生じる木屑はチップとしてパーティクルボードなどを製造します。さらに、こうした材料を用いて建物や家具などの木質製品を製造します。一方、チップからはパルプを製造し紙製品を製造します。新聞紙、雑誌、ダンボ―ルなどは、古紙としてリサイクルし、また、製造過程で排出される木屑はチップとしてリサイクルされます。

さらに、不要となって廃棄する建築廃材や木質製品は、解体して再利用し、あるいはチップにしてリサイクルします。木材のライフサイクルにおける最終段階は、燃料としての利用です。したがって、最終的な廃棄物としては木材の焼却灰であり、これもセメントの原料として利用することができます。

しかし、燃料として利用することは、とりもなおさずCO2の排出につながります。ですからCO2の貯蔵の観点からは、木材の状態で出来るだけ長期に保持することが重要であり、その意味において建物の維持管理を徹底して長寿命化を図ったり、家具などの手入れと年代物を尊重する風習を大切にしなければならなりません。これはかっての大量生産、大量消費によって経済成長を図るといった概念とは全く逆の考え方であり、正に「持続的な発展」の基礎をなす考え方です。

こうした木材の有効利用の最近の一例として、「リサイクルウッド」(図2-23参照)の開発があります。原料は建築廃材となった木材で、これをパウダー状に粉砕して、ペットボトルや農業用廃ビニルを原料とする樹脂を加え、成形した人造の木材です。再度のリサイクルも可能です。

部材は中空断面で、表面の外観や感触は天然木材と変わりません。叩くと木の音もするしノコやカンナでの加工も木材と同じように出来ます。強度も木材と同じであり、耐久性が高く腐食しにくく、さらにねじれなどの欠陥がありません。価格は木材と同程度とのことです。厚生省の調査によりますと建築廃材の中で木材は年間に600万トン(1995年)程度排出しますが、現在はそのうちの60%以上を廃棄処分しているのが実情ですので、リサイクルウッドの今後の進展が期待されます。

また、耐久性を向上させる木材として「燻煙乾燥木材」が、最近、考案されました。岐阜県白川郷の萱葺き民家の木材をヒントにして得たアイディアということです。つまり長年月にわたって煙によって乾燥された木材の耐久性が極めて高いことに着目して、これを人工的に行い耐久性の高い木材を作ろうとするものです。

燻煙用の燃料は木材の端材やオガクズで、燻煙とフェノール類の注入により木材は強度を増加し、カビや虫害を防止し、さらに抽出燻液(タール)を木材の表面に塗布することによって、防虫効果を増大しています。燻煙乾燥木材は、現在、住宅建築で問題となっている化学薬品によるシックハウス症候群の心配もなく、リサイクル性が高く、しかも廃材を燃料として使うことができます。耐久性が高いことから河川の護岸用の枠工法にも採用され、また高速道路の遮音壁への応用も検討されています。(次回へ続く)
  藤井卓著:「環境にやさしいコンクリート」(2001年、鹿島出版)より抜粋
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by wister-tk | 2012-08-19 20:32 | 環境学習など