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環境における森林の役割とは?(5)

5. エンジニアリングウッドの環境適合性
構造材料としての木材の欠点は、①材質が不均質なこと、②強度が他の材料より低いこと、③樹木の成長方向によって強度特性が異なること、④樹種によって性質が異なること、⑤大断面、長尺の材料が得難いこと、⑥接続が難しいこと、などがあります。こうした欠点を克服し、構造目的に適合した性質を備えた木質の構造材料が、「エンジニアリングウッド」(工業化木材)です。エンジニアリングウッドの主な改善点は、①工学的な性質を明確にする、すなわち工学特性を数値で示す、②強度のバラツキを最小にする、などです。
例として、荷重を保証するプルーフ(PROOF)材、強度区分したMSR(Machine Stress Rate)材、材料を縦に繋いだFJ(Finger Joint)材、集成材のGLULAM(Glue Laminated Lumber)、短く狭い材料を平面的に繋いだPSL(Parallel Strand Lumber)パララム(商品名)、性質に方向性を持たせたOSB(Oriented Strand Board)構造用パネル、配向ボード、などがあります(図2-23,24 参照)。

図2-23 I型複合梁・集成材・単板積層材   図2-24 木質I型複合梁[TJI]
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    王子木材緑化・HPより              トヨタウッドユーホーム・HPより

これらのエンジニアリングウッドを用いることにより、従来は木造では不可能であった大スパンの体育館やホールの建設が可能になってきました(図2-25,26参照)。床材や壁材にも木材を用いることにより、従来の鉄骨とコンクリートでは得られない、構造景観、音響効果、アメニティ性が発揮できます。

             図2-25 大館樹海ドーム(膜構造の外観)
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             太陽工業・実績集 http://www.taiyokogyo.co.jp より

             図2-26 大館樹海ドーム(内部構造)
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現在は主に建物などの建築構造物に利用されていますが、かつて橋や堰が木材で作られたように、今後は環境負荷低減と景観やアメニティの観点から、橋や防音壁などの屋外の土木構造物も木で造られてよいと考えています。ドイツやオーストリアでは道路の防音壁や遮音壁に木材が多く用いられています。デザインも多様で金属やコンクリートよりもツタなどの植生とのなじみも良好です。こうしたエンジニアリングウッドは、最近では環境対応の観点から「エコウッド」とも呼ばれることがあります。
藤井卓著:「環境にやさしいコンクリート」(2001年、鹿島出版)より抜粋
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by wister-tk | 2012-09-22 11:05 | 環境学習など