はじめに
近年、いわゆる「異常気象」が各地で起きていますが、その特徴的な現象としては、猛暑、台風の頻発と長期化、竜巻、ゲリラ豪雨、少雨、大雪などが見られます。これらの「異常気象」は、温暖化が一因とも言われています。けれども現時点では必ずしも地球温暖化が、それらの要因と言う確証は得られていませんが、その可能性の大きいことがほぼ認められています。 地球温暖化による具体的な影響としては、海面水位の上昇、台風・旱魃などの極端な気象現象の頻発とその強度の激しい変化、気候変動、森林・生態系の変化、水資源の枯渇、洪水・高潮の頻発、土壌の高塩分化による農作物への影響などがあります。 また健康への影響としては、熱波など温度上昇による循環器系・呼吸器系疾患や極端な気象現象の頻発による傷害や死亡などの損害、さらに生態系や媒介動物、伝染病寄生体の活動や生息範囲の変化により病気や伝染病が発生し、アレルギー疾患などが多くなり、マラリアなどの熱帯系の病気も発生する危険が予測されています。 そこで今回はこうした最悪の事態にならないようにするために、家庭の中で省エネを行ってCO2排出削減に寄与するにはどうすればよいか、について学習したいと思います。 地球温暖化対策が重要な理由 ところでいわゆる「環境問題」と言われる事柄には、図―1に示すように多くの事象があります。しかし、多くの環境問題の中でも「地球温暖化現象」は、人類はもとより地球に住む生き物にとってに破壊的な影響を与える現象であり、最重要の課題として早期の解決が求められる事象は他にありません。 図-1 環境問題の構図(人間活動と環境問題) 出典:藤井卓、「環境にやさしいコンクリート」、鹿島出版、2001年 なぜなら「温暖化現象」は、温室効果ガスの排出を止めても、すぐにはもとの状態には戻らない不可逆的現象だからです。また、「温暖化現象」は全地球規模で発生するので、自分だけあるいは特定の地域だけが、その影響を免れると言うことができません。しかも、地球上のすべての生きものの次世代以降への長期間にわたる影響は避けられません。 これらのことが、いわゆる「公害」と言われた工場排水とか自動車排気ガスなどの環境問題とは大きく違う点です。さらに悪いことに「地球温暖化現象」は、現在の最先端の科学技術を以てしても、まだまだ不確実な事柄が多いと言うことです。こう言う「不確実」な「不可逆的現象」の影響を受ける状況の中にあって、我々に必要なことは、やはり何と言っても「安全側の行動」をとると言うことだと思います。つまり元に戻ることのできない最悪の事態を避けるために、もしかしたら「ムダ」かも知れないけれども、最善を尽くすことだと思います。そのために家庭でもできることが沢山あります。 エネルギーの種類と省エネルギー 「省エネ」は「温暖化対策」そのものです。と言うのは エネルギーの種類としては、 〇化石燃料エネルギー:電気(石炭・石油・ガス火力)、ガス(天然ガス、プロパンガス、)、 石油(ガソリン、灯油、軽油、重油) 〇非化石燃料エネルギー: ・再生可能エネルギー:水力発電、太陽光発電、風力発電、地熱発電、温度差利用、バイオマス、太陽熱利用、地中熱利用、雪氷熱利用、その他 ・原子力エネルギー:原子力発電 などがありますが、 これらの種々のエネルギーのうち、省エネによって温暖化対策に貢献できるエネルギーは、燃焼によってCO2を排出する「化石燃料エネルギー」です。ですから電気、ガス、石油を節約して省エネをすることによって、温室効果ガスの排出を抑制し、地球温暖化防止対策と言う目的を達成することができる、と言う訳です。 ですが電気は、化石燃料に由来する電気だけを節約するという訳にはいかず、家庭で使う電気には化石燃料エネルギーと再生可能エネルギーや原子力エネルギーの非化石燃料エネルギーも混ざっています。けれども現在のところ電気全体に占める化石燃料エネルギーの割合は、前回のこのブログで学習したとおり88.4%(2012年)となっているので、やはり電気の節約は温暖化対策に大きな影響があると言えるでしょう。 家庭からのCO2排出割合と家電の電気消費割合 家庭から排出されるCO2の全体に占める割合は、図―2に示すように家電などから15%、自家用車から6%で合計の家計関連としては22%となっています。この割合は、産業関連の34%よりは少ないのですが、業務その他の20%を超えています。このことは家計部門の温室効果ガスの排出削減、つまり省エネがわが国の全体の温室効果ガス排出削減に大きく影響することを示しています。 図―2 CO2の部門別排出量の内訳(2011年度) 出典:国立環境研究所、「平成23年度の温室効果ガス排出量(確定値) について」2013年 http://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/ hrfba300000ar23o-att/honbun.pdf さらに家庭における電気製品毎の消費電力の割合は図-3のようになっていて、冷蔵庫14.2%、照明器具13.4%、テレビ8.9%、エアコン7.4%の順となり、冷蔵庫が最も電力を消費していることがわかります。 図-3 家庭における電気製品毎の消費電力の割合 出典:経済産業省 総合エネルギー調査会 省エネルギー基準部会(第17回)資料 「トップランナー基準の現状等について」(平成23年12月26日) 中部電力HP:http://www.chuden.co.jp/ryokin/information/ economy/hiketsu/chishiki1/index.htmlより 一般的に考えてエアコンが最も電力消費が大きいと思われますが、上記の調査結果では冷蔵庫の消費電力が最も大きいと言う結果になっています。しかし、上記は通年の場合であり、これが夏季となりますと図―4のように、当然ながらエアコンがトップの53%となり、冷蔵庫は2位で23%となっています。 図―4 夏の日中(14時頃)の消費電力(全世帯平均) 誠ブログ http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1107/20/news013.htmlより 冷蔵庫の省エネ対策 家庭で簡単にできる省エネとしては、以下のような方法があります。皆さんは、これらの幾つかについてすでに実行しておられることでしょう。 ①スイッチをこまめに切る→ スイッチオフで使用電力を必要最小限にして節電 ②待機電力をカット → 機器を使っていないときも消費される待機電力をカットして節電 ③冷蔵庫の省エネ → 扉の開閉回数を少なく開閉時間を短くし、詰め込まないで節電 ④照明の省エネ → 明るさや消灯時間を調節して節電!器具をLED照明器具に交換して節電 ⑤エアコンの省エネ → 設定温度を夏は高く冬は低くし、風向きを調節して節電!扇風機併用で節電 ⑥テレビの省エネ → 視聴時間の短縮、明るさ調節、主電源を切って節電 ⑦生活スタイルを見直して省エネ → シャワーの使用方法、お風呂、暖房便座、調理方法、等々を変えて節電 今回は特に「冷蔵庫の省エネ方法」について学習したいと思います。 以下は、「家庭の省エネ大事典」[1]からの引用です。(画像データから文字だけ転載し、一部加工しています。詳しくはここをクリックしてください。元のサイトにリンクしています) ************************************* 詰め込まず、開閉を減らして 省エネレッスン 熱い物は冷ましてから保存しましょう 麦茶やカレー、シチューなど、温かいものをそのまま冷蔵庫に入れていませんか? 庫内の温度が上がり、冷やすのに余分はエネルギーが消費されるのでご注意。 冷蔵庫に入れるものは? 冷蔵庫の中を整理しましょう。 ずっと前に食べ残した食品が、冷蔵庫の奥に眠っていませんか? 「とりあえず保存」は、結局食べずに捨てられることが多いようです。 また、常温で保存できるものを冷蔵庫に入れていませんか? 缶詰、ビン詰や調味料は、未開封なら冷蔵庫に入れないで! 省エネ行動と省エネ効果: ************************************* <以上で引用部分は終わりです> 上述の省エネ効果は、1台の冷蔵庫の1年間における結果です。わが国における家庭用冷蔵庫の年間出荷台数は、2001年から2013年の13年間で年間平均で約400万台[2]となっています。現在、実際に稼働している台数は、まだ調査できていませんが、冷蔵庫の耐用年数を5年としても予想される稼働台数は相当な数になると思われますので、1台当たりの省エネは僅かであっても全国レベルでは、想像以上の省エネになることは間違いないでしょう。 ちなみにわが国の総住宅数は5,759万戸、また総世帯数は4,997万世帯(総務省統計局、平成20年資料)となっていますので、1世帯に1台の冷蔵庫があるとすれば、これまた相当な省エネが可能と言うことになります。 おわりに 環境問題の多様性の中でも「地球温暖化問題」が最も重要な課題であり、わが国の温室効果ガスの排出量に占める家計部門の割合が22%と第2位であり、家計部門での省エネが温暖化防止効果の寄与に極めて重要なことを知りました。さらに家庭の電気器具のうち冷蔵庫からの排出量が最も大きいことを学習し、そのうえで冷蔵庫の省エネ方法について学び、省エネ行動とその効果についても学習しました。 今回は家庭でできる温暖化防止対策のひとつとして「冷蔵庫の省エネ」にしぼって学習しましたが、冷蔵庫の他に照明器具やエアコンも大切な省エネの対象ですので、これらについては、今後、引き続いて学習して行きたいと思います。 < 参 考 文 献 > 1.経済産業省・資源エネルギー庁のHP:(出典:「家庭の省エネ大事典」 (一財)省エネルギーセンター作成 http://www.eccj.or.jp/dict/index.html) http://www.enecho.meti.go.jp/policy/general/howto/kitchen/index.html 2.日本電機工業会、電気機器の生産見通し 資料、2013年3月 http://www.jema-net.or.jp/Japanese/data/mitoshi/pdf/2013mi_data.pdf #
by wister-tk
| 2014-02-27 22:48
| 環境学習など
はじめに
2011年3月11日の東日本大震災以降、いわゆる「脱原発」が大きな課題として私たちの身近な話題となっています。特に最近では、1月23日告示された東京都知事選挙における論戦の争点のひとつとして「脱原発」が、注目をあびています。 一口に「脱原発」と言ってもその意味するところは、必ずしも明確ではありません。ある人は、「脱原発」を「すべての原発の即時撤廃」と捉えるかも知れません。しかし、また別な人は、「脱原発」を「原発を徐々に廃止して最終的には全て廃止する」と考えているかも知れません。その他にこれらの中間的な考え方の「脱原発」もあると思われます。 そこで今回は、「脱原発」についてどのようなシナリオがあるのか、またわが国のエネルギー政策における原発の位置づけをどう考えればいいのか、そして「最善のシナリオ」とは一体どのようなものなのか、と言ったことを少し学習して見たいと思います。 脱原発のシナリオ 現時点では、東日本大震災以後に再稼働(2013年7月)した関西電力の大飯原発3号炉と4号炉も定期点検で停止(2013年9月)中のため、総数50基(日本原子力技術協会調べ)の原発のうち稼働している原発は1基もない状態です。 いわゆる「脱原発」のシナリオの基準としては、廃止時期、廃止の数、新設の有無、耐震性能、などが検討すべき項目として考えられます。 〇廃止時期による場合:①全原発を即時廃止する案、②数年かけて徐々に廃止する案、③耐用年数(30年、 40年、60年)経過後に廃止する案、など 〇廃止割合による場合:①全廃する案、②全廃はせずにある程度存続させる案、③出来るだけ多く存続させ る案、など 〇新設するか否か:①新設を許す案、②新設を許さない案、など 〇耐震性による場合:①耐震安全性が確保できないものを廃止する案、②確保できるものを継続する案、 〇以上の4つの組み合わせシナリオ: (例1)耐震安全性が確保できないものを全廃する、耐震安全性が確保できるものを継続するが、数年かけて徐々に廃止し、最終的には全廃する。 (例2)耐震安全性が確保できないものを全廃する、耐震安全性が確保できるものを継続するが、耐用年数(30、40、60年)経過後には廃止する、しかし、全廃はせずにある程度の原発は存続させる、このためには新設は認める。 経済産業省のシナリオ 温室効果ガスの排出量削減の観点から検討された原発の削減シナリオは、図に示すとおりです。ここでは削減のファクターとして原発の数のみに着目しており、削減の時間要素など数以外の条件は入っていません。東日本大震災以前の2010年時点での実績(発電構成に占める原発発電量の割合26%)に対して、2030年における①ゼロシナリオ(0%)、②15シナリオ(15%)および③20~25シナリオ(20~25%)の3つのシナリオの発電構成を示しています。 各シナリオにおける発電構成(2030年) 出典:経済産業省 委員会資料2(2013/5/29) <http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004000/pdf/035_02_01.pdf> 下の表に示すように温室効果ガス削減の観点からは、原発の比率を25%としても温室効果ガスの削減率は14%程度となり、いわゆる「25%削減目標」に対しては、さらなる別途の対策が必要なことを示唆しています。 環境省中央環境審議会・資料 「脱原発」シナリオの例[1] 原発の寿命と耐震安全性を考慮した具体的な廃炉のシナリオとしての一例を見てみます。 シナリオ1:原発の耐用年数を運転開始から40年として廃炉にし、さらに特に耐震安全性が確保できない原発を停止する案(この場合は2020年時点で22基稼働することとなります) シナリオ2:原発の耐用年数を運転開始から30年として廃炉にし、さらに特に耐震安全性が確保できない原発を停止する案(2007年時点の原発設備容量の76%を削減) (この場合は2020年時点で12基稼働することになります) シナリオ3:2020年までに全ての原発を廃止 上で述べた3つのシナリオは、原発を停止した場合の温室効果ガスの排出削減に及ぼす影響を検討したものです。いずれの場合も、地球温暖化対策として省エネの促進、再生可能エネルギーの開発、燃料転換にける幅広い効率改善対策、生産や輸送のスリム化などによって、2020年における温室効果ガスの排出量を、1990年比で25%削減可能であるとしています。 わが国のエネルギー政策における原発の位置づけ 「脱原発」の是非を論ずるにあたっては、基本的にはまずわが国の「エネルギー政策」はどうあるべきかについて、明確なヴィジョンが必要だと思います。現在の我々の生活レベルを保証するための経済成長を維持するためには、経済活動の原動力とも言えるエネルギーの確保は、極めて重要です。 東日本大震災前の2010年における電源構成は、原子力:30.8%、石炭:23.8%、水力:8.7%、LNG:27.2%、石油等:8.3%、新エネ等:1.2%です。これに対して震災後の2012年での電源構成は、原子力:1.7%、石炭:27.6%、水力:8.4%、LNG:42.5%、石油等:18.3%、新エネ等:1.6%です。 燃料別発電量構成比の推移(1990年度~2012年度) 出典:「環境を考える」ブログ <http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/e1b4a7d4acef56587764c50dc0ba7a29> 燃料別発電量の推移(1990年度~2012年度) 出典:「環境を考える」ブログ <http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/e1b4a7d4acef56587764c50dc0ba7a29> 現時点では電発は稼働していないので、それを補填するためにLNGの比率が大きくなっていると考えられます。以上のように原発の停止後の電力をLNGに大きく依存していることがわかります。 震災直後の電力不足は、計画停電や休止中の火力発電所の復旧によって急場をしのぎました。また2012年の夏は猛暑だったにもかかわらず、計画停電もなく無事過ごすことができました。このように我々の生活に停電などの大きな影響を与えることなく、電力の供給が行われている背景には、海外からのLNGの大量の輸入に依存していることに気付かなければなりません。しかも日本が急激に大量のLNGを買い付けたため、LNGの価格が高騰してしまいました。結果として現在、海外に依存している食料の輸入金額の6兆円を超えて、LNGの輸入金額は7兆円と言われています。結果として貿易赤字となり、わが国の財政への大きな負担となって来ています。 さらに重要なことは、LNGの価格高騰によって深刻な打撃を受けている国があることです。特に途上国においてその影響が大きいと言われています。わが国のように輸出によって外貨を獲得し、その外貨でLNGを輸入することは可能ですから、貿易赤字となったとは言え当面は電力の需要を満たすことは可能です。しかし、外貨の手持ちが少ない途上国ではLNG価格の高騰は、死活問題となると言われています。その結果、LNGを大量に買い付けその価格を釣り上げている日本に対して、激しい非難が寄せられているとのことです。これはわが国が世界の国々と友好的共存して行こうと言う平和主義に反する行為と言えるでしょう。 また、さらにわが国において原発がどのような経緯で持ち込まれたのかを知ることは、「脱原発」を検討する際の重要なポイントのひとつと思われます。さらにこのことは、日本で採用された原発が「軽水炉型」であり、なぜより安全性の高い「溶融塩炉型」が採用されなかったか、にも大きくかかわっているものと考えられます。(「溶融塩炉」については、このブログの2013/2/22, 3/25, 4/29, 5/30, 6/30, 8/29 の各号をご覧ください。 ) 簡単に一言でいってしまうと、「第二次大戦後の日本の原子力政策は、米国の政策の意図の基に行われてきた」、と言うことに尽きると思います。「軍事おいてはアメリカの核兵器の傘に守られ、電力供給において民生利用の原発に守られてきた」[2]と言うことになるのだと思います。その基礎にあるのが、「日米原子力協定」であり、この協定にもとづいてわが国が米国の原子力産業のマーケトにおける「消費者」としての立場を要求されたと言われています。その結果、軽水炉型の原発を買うこととなり、同時に核燃料の供給が約束されました。東日本大震災の2011年までに全体で54基の原発を買ったわけですが、第1基目は英国製でしたが、他はすべて米国の原発となった訳です[2]。 わが国における原発の製作・建設は、当初は純粋に米国企業によるものでしたが、最近では日本の企業との共同製作となっていました。したがって現在では、わが国の原子炉に関する技術は、世界的に見ても極めて高い技術水準にあると言われています。実際にわが国は、世界の原子力産業において中心的な位置を占めていると言われ、世界の原子炉格納容器の80%を日本企業が製造しているとのことです[2]。また、国際的にこうした立場にある日本が、「脱原発」と言うことで方向転換して、突然に原子力産業をも停止しまうと言った施策は、対外的に大きなマイナスになると考えられています。特に米国の場合は、日本に対してこうした施策を認めない可能性が、極めて高いではないかと思われます。 わが国のエネルギー政策における原発の位置づけの、もうひとつの重要なポイントとして、原子力発電に関する「技術水準の維持」の問題があります。今後は発展途上国や新興国においては、原発の利用が増加する傾向にあると言われていますが、平和利用にのみ特化した日本の原発技術は高く評価され、今後、原発利用を進めて行く国々にとってのよりよき目標となることでしょう。彼らの要望に応え支援していくためにも、原子力技術のレベル維持は大変重要だと言われています。また、福島第1原発の事故処理でも明らかなように、事故処理はもちろんのこと廃炉処理においても高いレベルの原子力技術が必要であり、こうした技術レベルは一朝一夕にはできるものではなく、長年にわたる研鑽の蓄積が必要なことは明らかでしょう。 最善のシナリオとは 以上学習してきたように「原発即時廃止」が、必ずしも現実的でないことがわかりました。それではどのようなシナリオがベストなのでしょうか? これはなかなか難しい問題です。そこでいろいろと調べた結果、私個人として納得し賛同できるシナリオとして、一つの具体的な提案に到達しました。それは寺島実郎さんの提案する3つの理論的選択肢として提示された「ベストミックス」[2]です。少し長くなりますが、原文の趣旨を変えないよう注意して箇条書きの形式で、以下に引用させていただきます。 <以下は文献[2]からの引用です> なお「青字」はブログの作者が加筆した部分です ************************************* 日本にとっての「ベストミックス」[2] 第一の選択肢:「アメリカの核の傘から出て、脱原発をめざす」:理論的には整合性があり一貫している選択肢。 問題点: 〇中韓との領土問題や北朝鮮の核問題が横たわるなかにあって、アメリカの核抑止力なしに、日本政府が国際紛争の脅威に立ち向かっていけるかというと甚だ心許ない。 〇日米同盟および日米原子力共同体に関与する政治家やメディアがそれを許すだろうか。 結 論:第一の選択肢は可能性が低いと言わざるをえない。 第二の選択肢:「アメリカの核の傘にとどまりながら脱原発を推進する」 問題点: 〇アメリカの核兵器に守られる日本が「脱原発」を主張することは、そのまま日米同盟の変更を意味する。まずアメリカは日米同盟の変更を望まないだろう。 〇「脱原発」を主張しながら、日米共同で原発産業を海外に売り込むことは、ご都合主義のそしりを免れることはできず、国際社会の信頼を大きく損なう危険がある。 結 論:第二の選択肢も実現可能性が低い。 第三の選択肢:「アメリカの核抑止力の段階的な相対化(減少化)と相対化のための原子力基盤技術の維持と蓄積」 〇世界の非核化と原子力の平和利用のために、IAEAなど国際機関を中心舞台として、日本は関与し可能な範囲で貢献する。 〇核兵器保有の誘惑に負けず、平和利用に徹しながら、専門性の高い技術力を磨き維持管理に努めていく路線である。 結 論:第三の選択肢を志向することが、日本の未来にとって賢明なことではないかと思っている。 理 由: 〇世界の原子力産業マーケットの中核を日本企業が占めている現実を最大限に生かし、原子力分野におけるグローバル・ガバナンス(世界の共同統治)に貢献することで、原子力技術の平和利用を進化させることもでき、国際社会の尊敬と信頼を獲得することにつながるだろう。それが、日本が世界の国々から尊敬と信頼を獲得できる道でもある。 具体的な原発の維持目標: 〇1990年以降に稼働させた安全性の高い2.5世代以降の原発20基と、新設原子炉2基あれば、約2000万キロワット程度の発電を維持できる。 〇原発の電源構成比を17~18パーセントと必要最小限度に抑えながら、原子力技術と原子力専門家の維持と確保を図っていくべきだ。 〇もちろん運営上の問題は改善しなければならない。現在の東京電力の賠償スキームや一時的国有化は、国家が明確な責任を持つ体制ではない。「国策統合会社」として統括し国が責任をとることで、国民や国際社会からの不信を排除する政策が必要だ。 ************************************* <以上は文献[2]からの引用です> おわりに 「脱原発」についてどのようなシナリオがあるのか、またわが国のエネルギー政策における原発の位置づけをどう考えればいいのか、そして「最善のシナリオ」とは一体どのようなものなのか、について少し学習しました。 「ベストシナリオ」については、各人によってそれぞれ異なる意見があるのは当然と思います。今、特に大切なことは、「福島=>原発=>危険=>0廃止」と言った単純な発想ではなく、まず日本の「エネルギー政策」はどうあるべきかについて、原発を含めてじっくりと議論し、国民的な合意の結果を踏まえた長期計画のもとに実行していくことが大切ではないでしょうか。 「ベストシナリオ」を選択する場合の基準は、何と言っても、①国民の現在の生活レベルを維持する、でしょう。さらに、②国際社会での日本の立場を十分に考えた行動をとる、③平和立国の主張に一貫性もたせる、④科学・技術立国としての立場を維持する、⑤再生可能エネルギーへの転換予測を的確にする、⑥第4世代の安全性の高い原発、特に「熔融塩炉」を導入する、⑦気候変動へも十分に配慮する、等々が考えられます。 2月9日の東京都知事選挙で、各候補者の「脱原発」の主張に対して有権者がどのように判断を下すかが、大変興味の持たれるところです。皆さんはどの候補者に投票しますか?まずは各候補者の主張する「脱原発」の中身を十分に検討して見てください。 < 参考文献 > [1] NPO法人 気候ネットワーク:脱原発の複数シナリオ-追加試算(2)2011/09/08 http://www.kikonet.org/research/archive/energyshift/report20110908.pdf [2]寺島実郎:時代を見つめる目、潮出版社、2013/10/20 #
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| 2014-01-31 23:12
| 環境学習など
はじめに 2013年11月11日から23日までポーランド・ワルシャワでCOP19(第19回 国連気候変動枠組み条約締約国会議)、CMP9(京都議定書第9回締約国会合)が行われました。2012年のカタール・ドーハで行われたCOP18での「ドーハ合意」(詳しくはこのブログの2012年12月号にあります)に基づいて懸案事項が討議されたのです。 今回のCOP19の主要な目的は、以下の二つでした。 (1)2020年以降の「新たな国際協力の枠組み」づくりにあたって、2015年、フランス・パリのCOP21での最 終的な合意に向けて各国の意見を集約すること (2)2020年までの先進国の温暖化ガスの削減目標の上積みを設定すること(この目的はまったく議論され なかったと言われます) COP19 開会式 出典:http://commons.wikimedia.org/wiki/File:COP19_opening_(23).JPG COP19での主な合意内容 ★新たな国際枠組みの構築 結果として「新しい枠組み」については、2015年(COP21、フランス・パリ)で合意して、2020年の発効に向うことを確認しました。 米国、中国および途上国を含めたすべての国が、COP21よりも十分早い時期に、準備できる国は2015年の1月から3月までに温室効果ガス削減の自主的な削減目標(nationally determined contribution)を提出することとしました。(約束:comitmentsではなく貢献:contributionとすることで、拘束力を持たない単なる目標に過ぎないとの解釈が可能となると言われます)また、その目標が妥当なものかどうかを第三者機関が評価する仕組みとなっています。 新しい枠組みの焦点だった「自主的削減目標」については、当初においてはEUが2014年、日本および米国が2015年、途上国が2015年以降と言った提案をしていましたが、結局、今回は「削減目標の基準年」や「達成の時期」については議論されませんでした。そのため2014年末にペルー・リマで開くCOP20に向けて交渉を加速する必要があると言われています。 ★支援資金に関する決定 途上国が、温室効果ガス削減の目標を達成するために、必要となる資金の支援を先進国に要請していますが、先進国は2014年の早い時期に途上国に目標設定のための資金を支援することを約束しました。 途上国への資金の支援については、既にコペンハーゲン合意(2009年、COP15、デンマーク)・カンクン合意(2010年、COP16、メキシコ)で、2020年までに支援資金を拠出すると言う合意に基づいて、作業計画を策定することがCOP19での焦点のひとつでした。 2020年までに1000億ドルの拠出が着実に確保されるよう、途上国は、途中段階の2016年までに「700億ドルなど中間目標」を定めるよう求めました。しかし先進国の多くはこれに強く反対したため、結果的には先進国に対し、2014年から2020年の間に2年に1度の頻度で、気候資金の規模増加に関する戦略や方法について報告をすることを求められました。 ★気候変動による損失と被害 気候変動による「損失と損害(Loss and Damage)」は、貧困国や気候変動の影響を著しく受ける脆弱な国々(島嶼諸国など)が、以前から強く促進を求めている課題であり、2012年のCOP18の「ドーハ合意」において新たな制度的メカニズムを創設することが決定されていました。今回はそれを受け、温暖化に伴う自然災害による「損失と被害」に対処する「ワルシャワ・メカニズム」と呼ばれる新たな専門組織を新設し、そしてその執行委員会を創設することに合意しました。 同メカニズムでは、条約の下で、損失と損害の問題への対応の実施を促進する役割を担い、損失と損害に関する知見の収集や調整、支援の促進などの機能を果たすことになると言われています。 2013 FUJII Tak 以上、COP19の合意内容のち主な3つの項目についてまとめてみまました。この結果を以下に示す、2012年のCOP18での「ドーハ合意」と比べてみますと、ほんのわずかの進展しか見られないことが判ります。 ******************************************************* 「ドーハ合意」の内容(詳しくはこのブログの2012年12月号をご覧ください) 〇新たな国際枠組みの構築 ・2021年からの新たな国際規約を、2015年までに構築することを参加各国が再確認しました。 ・中国と米国を含むすべての国が参加することで合意されました。 ・「新たな法的枠組み」の原案を、2014年末のCOP20以前に準備する。 ・これによって検討素案を2015年5月までに作成することを目指す。 〇支援資金に関する決定 ・途上国を支援するため、先進国に対して2020年までに支援資金を、年間1,000億ドルにまで拡大するよう求めています。 ・提出期限は、2013年のCOP19(ポーランド・ワルシャワ)までとなっています。 ・なお、長期資金に関する検討作業は、1年間延長することとなりました。 〇気候変動による損失と被害 ・気候変動による損失と被害に関しては、貧困国や気候変動の影響を著しく受ける国々(島嶼諸国など)からの訴えに応えて、先進国はCOP19において「気候変動による損失と被害の軽減に取り組むための国際的な機構制度」を設立することになりました。 ******************************************************* つまり「新たな国際枠組みの構築」については、あらためて「2020年の発効に向うことを確認」し、2015年に合意するための手順がかなり具体的になったと言えるでしょう。しかし、その内容が「約束」ではなく「貢献」と言う努力目標となっている点が気がかりです。特に中国やインドなどの新興国や途上国は、温室効果ガス削減の「自主的な削減目標の設定」自体に反対しているので、実際に2015年のCOP21(フランス・パリ)で合意がなされるかどうか、大変心配なところです。 途上国への「支援資金に関する決定」については、前回と同様に長年の懸案事項にもかかわらず、支援資金に関して多くの先進国の反対のため、今回も具体化はされませんでした。結果的には先進国に対し、2014年から2020年の期間において2年に1回、支援資金の増加方法や計画について報告をすることを決めたに過ぎません。 また、「気候変動による損失と被害」については、COP18においてすでに「気候変動による損失と被害の軽減に取り組むための国際的な機構制度」を、COP19で設立することに合意していました。したがって、これを受けて今回は、「ワルシャワ・メカニズム」と呼ばれる新たな専門組織を新設し、その執行委員会を創設することに合意したわけです。前回よりは若干進展したと言えるでしょうか。 〇日本の新目標への非難 ところで日本は、今回のCOP19でどのような役割を果たしたのでしょうか?日本は今回の会議において、「2020年の温室効果ガスの排出量を2005年比で3.8%削減する」と言う目標を発表しました。この3.8%削減と言う数字は、京都議定書で基準年とする1990年比に換算すると、3.1%の「増加」に相当すると言われていますので、削減目標ではなく逆に「排出増加目標」と言うことになります。この目標水準は、25%削減するというこれまでの削減目標を覆すものでり、京都議定書の第1約束期間(2008年~2012年)での削減目標である6%削減からも大きく離れる極めて異常な値と言えると思います。 この日本の新しい目標は、途上国はもちろんのことEUなどの先進国も、名指しで非難したと報じられています。オーストラリアもCOP19で削減目標の引き下げを発表しましたが、日本はオーストラリアともども、途上国が責任追及の対象とする先進国の中の悪の代表格のように攻撃されました。そして国際環境NGOの「気候行動ネットワーク」からは、COP19参加国の中で「交渉の推進に最も後ろ向きな国」として「特別化石賞」が贈られました。大変不名誉なことです。 こうした状況に対して会議に出席した石原環境大臣は、次のように述べて日本の環境技術面での貢献を、アピールして理解を求めています。「これから数字を上乗せし、優れた環境技術で世界の削減に貢献する準備がある。しっかり説明していくことが最大の仕事」と。 おわりに 日本は京都議定書の第1約束期間(2008年~2012年)での削減目標とした6%削減については、2012年にその義務を達成しています。この実績は大変重要であり、他の国々に対して日本の地球温暖化防止への取り組む姿勢ならびに高度の環境技術の保有を明確に示しています。 一方、今回のCOP19で発表した「2005年比で2020年に3.8%削減(1990年比で3.1%増加)」と言う数値は、原子力発電所が稼働しない状況では、ある程度やむを得ないと言うこともありますが、「3.8%」の算出根拠を示していないこともあって、あまりにも国際的な状況にそぐわない決定と思います。 こうした状況の根底には、わが国の将来にわたるエネルギー基本計画が確定さてれていない点にあるのではないかと思われます。原発の再稼働をどうするのか、将来的に原発による発電の比率をどうするのか、省エネをどのように進めるのか、再生可能エネルギーの比率をどこまで上げられるのか、等々を十分に検討しなければならないと思います。 そのうえで、京都議定書を世界に送り出した国として、また削減義務を果たした実績ある国として、地球規模の環境問題である温暖化防止対策に対して、日本が負うべき国際的な責任を十分に踏まえたうえで、わが国の将来にわたる社会・経済の動向を明確に示し、いま国としてなすべき努力がどの程度なのかなど、明確に問題の設定を行ったうえで、重要な「目標の設定」を行うべきではないでしょうか。今後の目標の改善に心から期待したいと思います。 以上 #
by wister-tk
| 2013-12-30 23:10
| 海外の情報
今年も「むさしのサイエンスフェスタ2013」が、11月3日に大野田[おおのでん]小学校で行われました。例年、武蔵野市教育委員会主催の行事として小中学生を対象に行われています。
今年の出展参加したブースは、32で昨年より1個増えました。2、3の例をあげますと「不思議な磁石の働き」、「ゾウリムシのダンス」、「ロボットアームを動かしてみよう」、「色が変わる不思議な液晶を作ってみよう」、「葉っぱのしくみを見てみよう」など、広い分野から出展されました。 私たち「武蔵野・多摩環境カウンセラー協議会 MECC」の6人のメンバーは、昨年と同じく、「むさしの・こどもエコフォーラム」を支援する形で参加しました。わがチームは26番ブースで「化石のレプリカを作って地球の歴史を探ろう」と言うテーマでした。 今回も昨年と同様に展示企画の目的は、化石を学習することによって地球の誕生から今日までの地球環境の歴史を学び、環境問題の重要性についての認識を深めてもらおうということでした。 なお今回の企画では、MECC会員である寺木秀一教授(東洋大学)に全般的なご指導をいただき、また当日、子どもたちへの説明も先生に担当していただきました。またレプリカの型の作製指導や国立科学博物館からの展示用化石の借用など大変お世話になりました。 今回はアンモナイトと三葉虫の2種類の化石のレプリカを作ることとし、どちらか一方を選んでもらうことににしました。レプリカの作り方としては、まず紙コップに石膏粉をいれ水を加えてよく練り混ぜ、これを予め製作しておいたプラスチック製の型に詰めて放置し硬化を待ちます。昨年は11月23日と時期も遅く、また当日は気温が10℃以下と大変低かったため石膏の水和反応が遅くなり、硬化までに60分以上と予想以上の時間を要しました。しかし、今年は、時期も昨年より早く、また当日は暖かい日でしたので、予定した20分から30分で硬化しました。 昨年は、アンモナイトの化石のレプリカだけの製作とし、一組20人として4回行うことにしていましたが、硬化に予想外の時間を要したため、初めの2回のみを行い残り時間を硬化の時間に充てました。今年は、1回につきアンモナイト・グループ10人と三葉虫グループ10人の合計20人とし、これを3回行いました。 例年、整理券の配布ではチョットしたトラブルが生じていますので、今回は少々工夫して、最初に一度に全部配布することとし、アンモナイト希望と三葉虫希望の2つの列に並んでもらい、各列とも30名で打ち切りとしました。予想したとおりアンモナイトに人気がありましたが、結果的に整理券の配布は、定時の開始時刻から数分で完了し何のトラブルもなく終わりました。 各回の「講義」では、寺木先生から、まず「この工作(実験)の目的など」について化石の標本を提示しながら説明があり、続いて「作業の手順と注意事項」について説明がありました。 「講義」に続いて子どもたちは、早速、防護用のゴーグルをつけてレプリカの製作にかかりました。参加した子どもたちは、小学2年生や3年生などの低学年が多かったのですが、子供たちは大変熱心に取り組んでいました。しかし、昨年同様に作業が少々難しい子供もいて、私たちの手助けが役にたちました。 子どもたちにとっては、石膏に水を加えて練り混ぜる作業が意外に難しく、特に適度な粘性を持たせてプラスチックの型に詰め込める状態にすることは、可なりの試行錯誤が必要でした。それでもみんな頑張って予想以上に素晴らしい作品を完成させました。 練り混ぜた石膏を型に詰め終わった段階で、「地球・人類の歴史」や「化石の持つ意味」などについて寺木先生から説明を受けました。化石の種類や化石の出来るプロセス、化石のできた年代、さらに地球の歴史などを学習しました。「講義」が終わってから子供たちは、国立科学博物館から借用した恐竜の化石やアンモナイト、三葉虫、サメの歯などの化石標本を触って、本物の化石の触感を楽しみました。 プラスチックの型からレプリカを外す作業は、子供たちとって大変わくわくする瞬間ですが、自分たちが作ったアンモナイトや三葉虫のレプリカを見たときは、大きな歓声があがりました。子供たちのこうした嬉しそうな笑顔を見るのは本当にいいものですね。出来上がったレプリカは、自分の名前を記入たラベルと一緒に標本箱に入れて持ち帰ってもらいました。 子どもたちが化石に対して大変興味を示したことは例年と同様ですが、はたして化石と地球の歴史、そして現在の環境問題への理解へとつながったかどうかは、少々不安なところがあります。今後も地球の歴史と環境問題を学習することを目的とするのであれば、もう少し工夫が必要ではないかと思われます。 今回、化石を主題にしたこと自体は、大変成功だったと思います。このことは、アンケートの結果からも納得できます。以下に子どもたちの感想の一部を載せて今回の報告といたします。 (読みやすように「かな」を漢字に直してあります) ○本物そっくりにアンモナイトを作れてよかったです。 ○今度は三葉虫も作って見たい。 ○恐竜の歯の化石を作りたかった。 ○化石がさわれてよかった。 ○いろいろ化石のことが解って楽しかった。 ○化石が大好きになりました。 ○今度、博物館に行って化石を見たいです。 ○いわきに行ってアンモナイトを発掘したいです。(寺木先生が福島県いわき市での発掘の説明をしたので) ○先生がわかり易く説明してくれました。興味を持てたのでうれしかった。 ○先生が詳しいのでびっくりした。 以上 #
by wister-tk
| 2013-11-27 22:30
| イベント参加報告
ノルウェーの環境省にあたる国の機関は、「Ministry of Climate and the Environment」と呼ばれています。直訳すると「気候・環境省」となります。もちろんノルウェーの国語は、ノルウェー語なのでホームページも基本的にはノルウェー語ですが、ここでは英語版に基づいて説明しています。
ノルウェーは、北欧4か国のひとつで、スウェーデンやデンマークとともにスカンジナビア半島にあります。北欧のもう一つの国は、もちろんフィンランドですね。ノルウェーは、「森と湖の国」としてよく知られているように、世界で最も自然に恵まれた国のひとつであり、また自然をとても大切にする国です。 環境に対する関心は極めて高く、国民の環境への意識は深く生活に根付いていると感じられます。環境省のホームページにもそうした環境を重視する積極的な施策が見受けられます。 ノルウェー環境省のホームページのトップページ(Home)は、下に示すように他の国の場合に比べて大変シンプルなレイアウトとなっています。特にこの版(2013/10/23)では、写真も少なく色彩もあっさりしています。このことは「海外のHP(6)」で紹介したオランダ環境省のHPに似ていますが、さらにシンプルと言った感じがします。しかし、各項目のリンク先では項目内容を相当に詳しく扱っており、情報量の多い大変に濃い中身となっています。 <ノルウェー環境省のホームページ;2013/10/23版> 出典:http://www.regjeringen.no/en/dep/md.html?id=668# トップページの最上段には、ニュースに関連する写真を掲載しています。この版では最近就任した環境大臣を紹介しています。トップページの項目としては、 ①ニュース、 ②2014年の国の予算、 ③ショートカット(リンク先項目)、 ④関連文書 の4つの項目で構成されています。 さらにページの下部には、6つの項目があり「最近の出来事」、「報道センター」、「刊行物」、「文書アーカイブ」、「音声と映像」さらに「環境省お勧めの話題について」となっています。 ①ニュース欄:10月16日付でSundtoft氏が環境大臣に、またLunde氏が国務大臣に就任したことを報じています。 ②2014年の予算欄:10月14日に予算案が議会に提出されたこと、国の予算がノルウェー経済のための経済政策と企画を実施するための政府の施策を示したものであることなどを述べており、さらにリンクによって別ページで詳しくその内容を説明しています。 ③ショートカット欄:次のような項目が並んでいます。 ●環境ホームページ: 別のホームページで環境状態と開発の最近の状況として、以下の項目などについて説明しています。 ・大気汚染、・廃棄物、・危険な化学物質、・放射線、・水圏、・海域、・極地方、・気候、・生物種の多様性、・騒音、・野外リェクレーション、・文化遺産、など ●ノルウェーの気候変動対応計画: 気候変動に関する基礎的な知識から最近の話題まで興味深い内容となっています。特に「緑の屋根(Green loof)」の構想は、大変興味があります。屋根に植物を植えて雨水の流出量を制御しようとする構想です。わが国の「屋上緑化構想」に似ています。既に大規模な実験も行われていることが紹介されています。ノルウェーでは伝統的に屋根に植物を植えることが行われてきましたので、こうした発想も生まれるのでしょう。かつて北緯70度のトロムソまで行ったことがありますが、あちこちで「緑の屋根」を見ました。 <ノルウェー生命科学大学における「緑の屋根」の実験場> セダムとハーブと草の組み合わせの軽い構造の大規模な「緑の屋根」、屋根の重量は、水の飽和状態で約130 kg/m2、高さは約120mmです。 (Photo:The Norwegian University of Life Sciences.) 出典:http://www.regjeringen.no/en/dep/md/kampanjer/engelsk-forside-for-klimatilpasning/library/publications/report-on-green-roof-knowledge.html?id=723742 ●環境統計: ここでは環境に関する統計資料の他に刊行物や定期刊行物の検索ができます。例えば統計資料としては、・温暖化ガスの排出量、・都市居住域における土地利用、・家庭からの廃棄物などです。 ④関連文書 :次のようなテーマが示されています。 ・ノルウェーの気候政策(国会へ提出された白書:2011-2012の報告書の要約)、 ・世界遺産と共に生活する(会議報告書)、 ・ノルウェーの環境目標―目的達成のための優先的分野と手法 ・スヴァールバル*環境保護法 *スヴァールバル諸島:北極圏のバレンツ海にある群島、最大の島はスピッツベルゲン島、人口約2,600人 以上、見てきたようにこのホームページからだけでも、ノルウェーが環境対応に大きな関心を持っていることが理解できます。 よく知られているように、ノルウェーには原子力発電所はありません。総電力量のうち火力発電が4%、風力発電が1%と言われています。1人当たりの電力消費量は世界最高ですが、電力はヨーロッパ最大の水力発電によって供給されています。ノルウェーは、ヨーロッパの石油埋蔵量の60%、ガス埋蔵量の50%を保有する資源大国と言われていますが、これらのエネルギー資源は輸出用としています。また、電力供給に不足が生じた場合は、近隣の国やロシアから輸入して不足分を補っているとのことです。 #
by wister-tk
| 2013-10-25 22:04
| 海外の情報
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